2022年01月24日
2022年01月24日
着ぶくれ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.22第一面より引用させていただきました。
着ぶくれで椅子を分けあう冬電車一人立てども吾は無理せず 風祭咲子『びつたれ』

みんなが着ぶくれしているせいか、冬の電車は人の密度が高い。ちょっと息苦しい気分になる。そんななかでも、人々は譲り合いの気持ちを忘れない。座席がぎゅうぎゅうづめになると、自発的に椅子から立ち上がる。そんな心遣いを見せる人もいる。
今年八十歳になる作者にも席を譲りたい気持ちはある。けれど、無理はしない。申し訳ないような気持ちを抱きながら、まわりの気遣いに感謝して、席にちょこんと座り続ける。
(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.01.22第一面より引用させていただきました。
着ぶくれで椅子を分けあう冬電車一人立てども吾は無理せず 風祭咲子『びつたれ』

みんなが着ぶくれしているせいか、冬の電車は人の密度が高い。ちょっと息苦しい気分になる。そんななかでも、人々は譲り合いの気持ちを忘れない。座席がぎゅうぎゅうづめになると、自発的に椅子から立ち上がる。そんな心遣いを見せる人もいる。
今年八十歳になる作者にも席を譲りたい気持ちはある。けれど、無理はしない。申し訳ないような気持ちを抱きながら、まわりの気遣いに感謝して、席にちょこんと座り続ける。
(大辻隆弘)
2022年01月22日
2022年01月22日
2022年01月21日
氷のかけら
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.21第一面より引用させていただきました。
氷のかけら氷の上を走りけり 対中いずみ『水瓶』

無邪気さがいい。氷のかけらは子どもたちが氷上を戯れている感じ。何気ない素朴さが俳句の切り口だ。読んで読み手が心当たりのある自分の面白さを見つけるもの。
掲句を添削されたという「氷片にして氷上を走りけり」。氷片-氷上の照応が硬いか。誓子の初句集『凍港』(昭和7年)はこのような骨組みである。
あれから90年経つ。いかに肉声を蘇らせるか。掲句は人ばかりか、氷にもある声に耳を傾けるやさしがいい。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.01.21第一面より引用させていただきました。
氷のかけら氷の上を走りけり 対中いずみ『水瓶』

無邪気さがいい。氷のかけらは子どもたちが氷上を戯れている感じ。何気ない素朴さが俳句の切り口だ。読んで読み手が心当たりのある自分の面白さを見つけるもの。
掲句を添削されたという「氷片にして氷上を走りけり」。氷片-氷上の照応が硬いか。誓子の初句集『凍港』(昭和7年)はこのような骨組みである。
あれから90年経つ。いかに肉声を蘇らせるか。掲句は人ばかりか、氷にもある声に耳を傾けるやさしがいい。(宮坂静生)
2022年01月21日
2022年01月20日
骨正月
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.20第一面より引用させていただきました。
穏やかな骨正月のゆふぐれをホットワインに
祝ひてをりぬ 三留ひと美『美しき筥』

一月二十日のことを西日本では骨正月という。お正月に食べた魚の骨まで煮込んで食べる所からそう名づけられたようだ。お正月もいよいよおしまい。そんな節目となる日である。新年の喧噪が去ってがらんとした部屋。家事で忙しかった作者にとっては、やっと一息つける時期がやってきた。おだやかな気分に浸りながら、グラスに入れたホットワインの湯気の中に座る。
お正月はすっかり抜けた。今日から大寒。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.01.20第一面より引用させていただきました。
穏やかな骨正月のゆふぐれをホットワインに
祝ひてをりぬ 三留ひと美『美しき筥』

一月二十日のことを西日本では骨正月という。お正月に食べた魚の骨まで煮込んで食べる所からそう名づけられたようだ。お正月もいよいよおしまい。そんな節目となる日である。新年の喧噪が去ってがらんとした部屋。家事で忙しかった作者にとっては、やっと一息つける時期がやってきた。おだやかな気分に浸りながら、グラスに入れたホットワインの湯気の中に座る。
お正月はすっかり抜けた。今日から大寒。(大辻隆弘)
2022年01月19日
2022年01月18日
錦江湾の冬若布
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.18第一面より引用させていただきました。
賜いたる錦江湾の冬若布磯の香する泥をつけたり
上妻朱美『姶良』

鹿児島湾のことを地元の人は錦江湾と呼ぶ。そこはワカメの生息地域の南限。これより南に下るともうワカメは育たない。
冷たい水にさらされたワカメを隣人がおすそわけしてくれる。そこからプンと磯の香りが立ち上がる。おひたしにしようか、味噌汁に入れようか。作者はちょっと迷ってしまったのだろう。
一年でもっとも寒い季節。ワカメのあざやかな緑が目にまぶしく映る。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.01.18第一面より引用させていただきました。
賜いたる錦江湾の冬若布磯の香する泥をつけたり
上妻朱美『姶良』

鹿児島湾のことを地元の人は錦江湾と呼ぶ。そこはワカメの生息地域の南限。これより南に下るともうワカメは育たない。
冷たい水にさらされたワカメを隣人がおすそわけしてくれる。そこからプンと磯の香りが立ち上がる。おひたしにしようか、味噌汁に入れようか。作者はちょっと迷ってしまったのだろう。
一年でもっとも寒い季節。ワカメのあざやかな緑が目にまぶしく映る。(大辻隆弘)
2022年01月17日
すき焼きと花魁
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.17第一面より引用させていただきました。
鋤焼(すきやき)や花魁(おいらん)言葉ありんすをりんす 藤田哲史『新撰21』

太平な世を漂うような気分になる。30代半ばの作者。吉原あたりの花魁が客と鋤焼をつつきながら「ありんすをりんす」と懇ろに言葉を交わしている場面か。
戦中・戦後育ちの私は貧しくて鋤焼を食べたことがなかった。贅沢な料理との観念があり、上記の場面を想像することでも身がふるえるほどだ。若さとは憧れだ。それは了解できる。
「かにかくに」の明治の吉井勇調ではないが、難しい句ではない。ここにをりんす調。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.01.17第一面より引用させていただきました。
鋤焼(すきやき)や花魁(おいらん)言葉ありんすをりんす 藤田哲史『新撰21』

太平な世を漂うような気分になる。30代半ばの作者。吉原あたりの花魁が客と鋤焼をつつきながら「ありんすをりんす」と懇ろに言葉を交わしている場面か。
戦中・戦後育ちの私は貧しくて鋤焼を食べたことがなかった。贅沢な料理との観念があり、上記の場面を想像することでも身がふるえるほどだ。若さとは憧れだ。それは了解できる。
「かにかくに」の明治の吉井勇調ではないが、難しい句ではない。ここにをりんす調。(宮坂静生)