2023年10月31日

花梨(榠樝)かりん

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.31第一面より引用掲載させていただきました。
榠樝(かりん)がちひさなこゑでくわりんといふ    
        小川双々子『囁囁記』(しょうしょうささやき)


 我が孫娘の声が小さい。大きな声で返事をしなさいと聞こえないよと言う。バスケットの選手で率先して荷物を持ち、フットワーク抜群なのだが。掲句を読んだ途端に「榠樝」は女子の名にして可愛らしく響きがいいと決め込んでいた。
 『小川双々子100句』(武馬久仁裕編著)を読んでいて、主語は榠樝の読みを教えられた。ちょっと凸凹、長楕円のあまり見栄えがしない大柄の実だ。恥ずかしそうに小さな声で呟くのが可笑しい。人名に解するよりも新鮮だ。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:28Comments(0)出来事

2023年10月28日

草間彌生

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.28第一面より引用掲載させていただきました。
逃げ切れぬ草間彌生の南瓜(かぼちゃ)からは   
            岡田由季『中くらゐの町』




 草間彌生といえば水玉模様とカボチャのオブジェ。単純で身近な素材がデフォルメされて迫る。これがコマーシャルにのり、日常化されると、印象にがんじがらめになる。
 作者は大阪府泉佐野市在住。瀬戸内海の香川県直島のフェリー乗り場脇にある「赤いかぼちゃ」に取り憑かれたものか。あるいは北の十和田市や南の福岡市、または彼女の生誕の地である松本市などの美術館に常設の黄色いカボチャのオブジェが強烈に印象に残ったものか。俳人の心理の関心事が面白い。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 11:16Comments(0)出来事

2023年10月27日

排水口

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.27第一面より引用掲載させていただきました。
秋風の排水口に一管の笛として立つ生かされし吾(われ)は     桜川冴子『流』

 河口にに面した排水口。その鉄管に秋の風が吹く。鉄管の角が風に当たり、笛のように鳴る。ヒュー、ヒュー、ヒュー。人の息づきのような苦しげな音が聞こえてくる。この光景を見て作者は「この鉄管こそが私なのだ」と直感する。
 作者の桜川は1961年熊本県水俣市生まれ。彼女自身は生かされた側の人間だが傷は深い。水俣病を忘れさせまい。そんな決意が彼女を貫く。(大辻隆弘)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 09:01Comments(0)出来事

2023年10月26日

2023年10月26日

2023年10月26日

2023年10月26日

まち協ニュース11月号(早見版)

まち協ニュース11月号です!
本日各自治会長さん宅へ配送しました。
今月のラインナップは
#赤い羽根街頭募金
$スズメバチに注意
&西の湖ウオーク
%島学区ちょこっとサービス
~国スポボランティア募集
□古写真から見るふるさと島
○ウオーキングのお知らせ
☆子育てサロン
◇カフェ紅芭
△今月の予定
◇防災訓練のお知らせ

以上です

  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 16:36Comments(0)学区まちづくり協議会事業

2023年10月26日

好々爺

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.26第一面より引用掲載させていただきました。
菊を作るな好々爺にはなるな 
      仲寒蝉『全山落葉』

 私小説的な読み方をしている。「かつてダンディー枯れ放題に父の髭」と詠む父のもとで大きくなる。「国家から少し離れて葱坊主」
国の歩みにも関心がある。
 しからば、掲句の主人公は文化の日向けの菊を作り、眺めては二度三度まんざらでもないと顎(あご)を撫(な)でるくらいの好々爺になりそうな素質は十分にお持ちなのだろう。
 世過ぎは文人肌の医師。俳誌を主宰し、仲間にも恵まれる。人がいい誠実さから持ち味にブレーキをかけたのが掲句である。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:35Comments(0)出来事

2023年10月25日

板書

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.25第一面より引用掲載させていただきました。
チョークの粉たっぷり吸ったセーターを脱ぎ捨て鍋にまず湯を沸かす   大引幾子『クジラを連れて』

 私も教員をしているのでわかるが、セーターなどもっこりした服を着ると、それが黒板のチョークの粉をいっぱいに吸ってしまう。手ではたくと粉が飛び散るほどだ。
 忙しい校務を終えて帰宅する。家に入れば家事が待っている。いそいでセーターを脱ぎ捨て、エプロンをつけ、湯を沸かしキッチンに立つ。そんな慌ただしい日常が垣間見られる歌である。教師という激務の苦しさ。仕事を持つ助成の苦しさ。
          (大辻隆弘)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:09Comments(0)出来事

2023年10月24日

白蛾

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.10.24第一面より引用掲載させていただきました。
霜降(そうこう)の白蛾止まってゐたりけり    染谷秀雄『息災』


 霜が降りる季節到来。旧暦では9月の甘露に続く節気で、今の10月23日頃である。急に寒くなった無人駅の待合室の窓ガラスに大きな白蛾がバタバタしている。妖艶である。どきっとして、しばらく見つめる。
 大きいといっても、おおみずあおのような気品はない。
 「振り向ける枯蟷螂(かれかまきり)の眼はみどり」も同じ時期の作か。枯れ進む季節に白蛾や蟷螂のような夏の名残に出会うと哀愁を抱く。残酷である。
 しかし、生き物の眼から人の老残はもっと哀れか。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 13:24Comments(0)出来事