2021年10月30日

大銀杏の木

こんにちは!『今日の名歌と名句』
※日本農業新聞2021.10.30第一面より引用させていただきました。
おおよそを終えたるわれに立つ風や大銀杏の下天も地も明るく 安部洋子『続・西方の湖』

 イチョウの葉が黄に染まった。いや、黄金食と言うべきか。舗道の上に落ちた葉が、足下を明るく照らす。晩秋のイチョウの木の下に立つと、天も地も明るさのなかに包み込まれているように感じられる。
 かすかな夕風を身に受けながら、作者も木下にたたずんだのだろう。明るさの充溢のなかで、人生のおおよその事はもう成し遂げたのだ、と作者は思う。それは寂しさではない。豊かさの実感なのだ。(大辻隆弘)
  


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2021年10月29日

干し柿「あまんぼうの里」

俳句による歳時記紹介
「滋賀のふるさとの風景」
吊し柿貧しき寺の極楽図/渋谷光枝


「伝統の干し柿を後世に伝えよう」と、米原市日光寺地区で特産品の干し柿「あまんぼう」作りが続けられています。1995年に発足した有志グループ「サン・ワークス」が活動の中心となり、約1万個の柿の皮むき作業に精を出します。あまんぼう作りを通して老若男女がひとつになり、地域の大きな絆となります。あまんぼうは、日当たりが良く、冷たく乾燥した風が吹く土地柄を利用した特産物で、明治初期ごろから作られはじめ、京阪神方面や東京にも出荷されていたといいます。あまんぼう復活をまちづくり活動につなげようと地域ぐるみでの取り組まれています。11月上旬に日光寺では、柿屋(かきのや)が組まれ、干された柿が飴色に輝く光景は秋の風物詩となっており、多くのカメラマンがその風景を切り取っています。滋賀県米原市日光寺  


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2021年10月29日

人生の枯淡(こたん)

おはよう!『今日の名歌と名句』
※日本農業新聞2021.10.29第一面より引用させていただきました。
木曽路行(ゆき)ていざ寄らん秋独り 蕪村『落日庵句集』

木曽路は芭蕉以来修行の場であった。山国の厳しい渓谷を登攀(とうはん)し歩行することで人生の枯淡(こたん)(「からびたる心」)を身につけるあこがれの地でもあった。掲句も独り木曽路をたどり、齢(よわい)を重ねることで生きることの深みを身につたいとの文人の心境を詠っている。
蕪村36歳の作。若年の老いへの憧れが滲むが生老病死が日常の生き難い時代には早く心境を老成化し安定した気持ちを維持したいと思う。現代の若者が大人になりたくない気持ちとは反対のようだ。(宮坂静生)
  


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2021年10月28日

「態度」と「人格」「政治は人なり」

政治は言葉である。
選挙戦ならなおさら言葉の力が試される▼
話芸の達人、徳川夢声の名著『話術』(新潮文庫)をひも解く。同著は心構えから話し方の基本、座談や講演など場面ごとのこつを指南する。

まず、話術の前に人格ありき。「ハナシは人なり」「コトバは心の使い」。ここが肝。それがあっての伝え方。「『話術』とは『マ術』なり」。
「間」の取り方などは上級編だ▼手遅れかもしれぬが、立候補諸氏に「演説心得六箇条」のさわりを。「第1条自分が言わんとすることを、心の中に順序よく積み重ねておくこ」「第2条 聴衆の状態によって、言語態度など変通自在に加減する」など。以下、声の出し方、視線、身振り手振りに至るまでハードルは高い。「手なくして雄弁なし」とあるが、大仰だと鼻白む▼雄弁術の神様デモステネスの逸話も出てくる。雄弁術の秘訣を請け負う人に答えていわく「何よりまず、自分の態度に注意することが必要」。次に肝要なのは「態度に注意すること」。何度尋ねても同じ答えが返ってくる。夢声は、「態度」を「人格」に置き換えてみよと言う▼選挙も同様。政策第一だが、信を置ける人柄か、心からの言葉なのか。つかまるところ「政治は人なり」。

※日本農業新聞2021.10.28第一面『四季』より引用させていただきました。
  


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2021年10月28日

大きな鏡

おはよう!『今日の名歌と名句』
※日本農業新聞2021.10.28第一面より引用させていただきました。

かげだけのぼくが鏡にあらわれてしづかに消ゆるまでのしづけさ 加部洋祐『未来世』


部屋の片隅に大きな鏡が据えられている。そこに自分が映る。
後ろから光が差し込んでいるせいか、鏡に映った自分の姿はシルエットだ。形もさだかでない黒い影が、輝く鏡の表面にフウッと現れ、またフウッと消えてゆく。まるで白昼夢を見ているようだ。
 日差しの角度が薄くなったせいだろうか、部屋の中に陽の光がよく入るようになった。その分、自分の影も薄い。そんな深秋の昼。
(大辻隆弘)
  


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2021年10月27日

2021年10月27日

まち協ニュース11月号その2




  


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2021年10月27日

2021年10月27日

「紙頼み」

実家の庭に昔から、ユキノシタやドクダミ、フキなどが自生する。万一に備えた知恵だったようだ


薬が入手しづらい頃、イキノシタとドクダミは民間療法で、湿疹などに使った覚えがある。今はむしろ、はびこるドクダミに手を焼く。フキも庭のあちこちに青を出すが、食べられるので大目に見ている▼フキはもともと、食べる以外にも使用されていたと知った。『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』(湯澤規子著)にフキの役割が出ている。大きく肌触りが柔らかいの葉は紙の普及以前、多くの地域でトイレットペーパーとして利用されたそうだ。フキに由来し「拭き」という言葉ができたとの説もある▼(中略)▼選挙本番。不安解消は投票用紙へ”神頼み"とする。今のトイレでは水には流せないフキの葉は使えない。水に流せぬ事をした候補も選びたくない。しっかり確認しよう。
※日本農業新聞2021.10.25第一面『四季』より引用させていただきました。
  


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2021年10月26日

蟷螂(カマキリ)

おはよう!「今日の名歌と名句」
※日本農業新聞2021,10,26第一面より引用させていただきました。
蟷螂(かまきり)の枯るる
  間際の身づくろひ
 
                吉田鴻司『吉田鴻司集』



 蟷螂への思い入れが深い句である。真っ青な蟷螂も草木が枯れる初冬にはさすがに褐色を帯び枯れた姿態を曝している。哀れだ。しかし蟷螂は気位が高い。気力で生き残ったものか、わずかに鎌を動かし身づくろいをしているように見える。
 蟷螂を見ながら、我が老いのあり方が念頭にあろう。「重ねたるほどに着ぶくれてはをらず」という句もある。
 身だしなみを疎かにしないダンディーな心得は蟷螂にまで及んだのであろう。(宮坂静生)
  


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