2024年12月27日

摺り足

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.27第一面より引用掲載させていただきました。
摺足(すりあし)の黒子に年を惜しみけり   丸山宏子『子らの宵ぼれ』

 歌舞伎か人形浄瑠璃か。黒子の摺足詠を大会で特選に選んだ。それから20年の歳月が流れた。このたび句集をまとめられた時に、掲句の黒子詠を思い出した。
 主役の後見人にあたる黒子が、黒い頭巾をかぶり衣装の着替えを済ませると、舞台をすーと摺足で去る。黒子は不思議な存在だ。見えても見えないものと了解がある。楽屋裏を舞台で見せるのである。
 思えば、黒子に徹するとは役柄とはいえ、凄いことだ。今年も終わりとは哀愁がある。(宮坂静生)
  


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2024年12月26日

湖岸の霧

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.26第一面より引用掲載させていただきました。
葦群と霧のむこうになに鳥か口寄せをするごとき濁み声   寺井淳『埒にいる鳥』

 作者は島根在住の歌人。宍道湖の水を見ながら、日々を過している。
 冬、湖の北岸は朝霧に包まれる。葦が生い茂った岸辺に、うっすらと霧がたなびく。まるで水墨画のような、幽玄な風景である。
 が、何の鳥だろう、その霧のなかから、濁った鳴き声が聞こえてきた。ひと声、ふた声。
 その声によって湖岸の静寂が、一瞬破られてしまう。そんな朝。(大辻隆弘)
  


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2024年12月20日

こよみうり(暦売)

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.20第一面より引用掲載させていただきました。
影すでに凍(い)てているなり暦売(こよみうり)  田川飛旅子『植樹祭』

 街角で頬被(ほっかむり)をし風に吹かれながら、大小柱暦や巻暦(まきごよみ)を売る暦売を見たことがあるだろうか。薄い日差しの中、影さえも凍り付くような暦売を。11月頃から文具店に並ぶカレンダー暦とは違う。
 明治6年から旧暦の太陰太陽暦が新暦(太陽暦によるグレゴリオ暦)に変わってから暦売は街角から消えた。特定の神社の境内などで出会うことがあっても、師走の町中に売り歩く声を聞かない。立冬や大雪など二十四節気を知らないと、農作業ができない。俳人も同じ。(宮坂静生)
  


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2024年12月19日

12月19日の記事

『島学区まちづくり協議会ニュース』
2025.01.01新年号完成しました!
★先進地視察研修「米原市大野木長寿村」
○巳年。干支と十二支 2025年問題
◇親子しめ縄教室
▲コミセン年末大掃除
◆わくわく野鳥観察
☆「ふみもじ」研修会
▲子育てサロン
△カフェ紅芭
◎1月のお知らせ
#コミセン小上がり展示紹介
♪島学区総合出初め式のお知らせ
  以上のラインナップでお伝えします!!




  


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2024年12月19日

真冬の浜

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.19第一面より引用掲載させていただきました。
時かけて海の鼓動を聞きいたり呼ばれしごとく冬浜に来て   長澤ちづ『時の舳先』

 真冬の寒風吹きすさぶ海を見てみたい。人間のなかには、厳しさや暗さを希求する、そんな心があるのだろう。
 まるで海に呼ばれたように、作者は真冬の浜に立つ。海風が頬を刺す。
 冬の曇り空を映した海面は、どんよりと鉛色だ。打ち寄せる波の音が、生き物の鼓動のように耳に届く。
 その鼓動が、自分の鼓動とシンクロしてゆく。そんな不思議な一体感。(大辻隆弘)
  


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2024年12月18日

木賊(とくさ)

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.18第一面より引用掲載させていただきました。
すぐ氷る木賊(とくさ)の前のうすき水   宇佐美魚目『秋収冬蔵』

 雨樋(あまどい)から漏れ流れ出した水だろうか。それとも蹲踞(つくばい)からの溢れた水だろうか。茶室周辺の清楚さがある。
 木賊が生えている。ぞくぞくでなくてもいい。いまだ青さを保ちながら枯れている。
 薄い氷が蝉の羽根のような煌めきを内側に秘めている。寒い。
 作者は書家、芸の人である。風景が心境を伸(の)したように軽い弾みがある。書のようであり、水墨画のようでもある。観念の筋書きが透徹した作品ではない。親しく語りかけてくる柔らかさが魅力。(宮坂静生)
  


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2024年12月17日

対岸の灯り

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.17第一面より引用掲載させていただきました。
対岸のとおいともしびそこまでがわたしでここからがわたしたち    井上法子『すべてのひかりのために』

 冬の夜の川は暗い。対岸と此岸(しがん)の間に、何の光も返さない暗黒が滔々(とうとう)として流れている。その闇の深さに慄然(りつぜん)とする。
 対岸に灯りが見える。あそこまでは「わたし」の領域。こちらの岸にも灯りは見える。ここからは「わたしたち」の領域。が、それにはさまれた川は全くの暗黒だ。
 「わたし」と「わたしたち」の間には、闇の広がりが身を横たえているのだ。(大辻隆弘)
  


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2024年12月16日

龍の髭

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.16第一面より引用掲載させていただきました。
竜の玉我(が)に幾人の師あるか   武藤紀子『雨畑硯』

 冬に瑠璃色の実が美しい。竜の髭、蛇の髭の実である。
 地から群生するイネ科状の細い弓状の葉の間にある光る竜の玉は考えごとをしているようだ。俳人好みの句材である。〈読み書きは無言如かず竜の玉〉(宇多喜代子)
 古希過ぎる頃から、わが身を省みることが多い。私は何人の先生に教えられたかしら。師弟とは不思議。
 出会いがみんな私には新鮮で、歳をとると懐かしい。冬の寒さに毅然とした竜の玉がもつ風格。師にはそんな風格がある。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 09:56Comments(0)出来事

2024年12月15日

コミセン年末大掃除

コミセン年末大掃除
各種関係団体の協力により綺麗にしていただきました。
一年間の垢落しとして、恒例の年末大掃除を12月14日に実施しました。コミセン本館、倉庫、体育館、周辺環境整備など手際よく短時間で綺麗に仕上げていただき、ありがとうございました。








  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:38Comments(0)学区まちづくり協議会事業

2024年12月14日

警策(きょうさく)

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.12.14第一面より引用掲載させていただきました。
夜更けて柱干割るる音ひびく肩に打たれし警策(きょうさく)のごと  繁田達子『聴花残日抄』

 テレビなどで、禅寺の修行の様子を見ることがある。座禅を組む弟子の後から、彼の肩の上に、導師が木のヘラを打ち落とす。バシッという音が堂内に響く。あの木のヘラが「警策」である。
 真冬。乾燥が極まると、木から水分が失われ、その反動で柱がバシッと音を立てる。深夜あの音を聴くと、ドキッとする。ちょうど自分の肩に、警策が打ち下ろされたような感覚が襲う。(大辻隆弘)
  


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