2024年01月31日
地域再生大賞
第14回地域再生大賞に「島学区まちづくり協議会」が選ばれました!
地域再生大賞とは:進む人口減少、少子高齢化…。厳しい状況の中、自分たちの住む地域を元気にしようと頑張っている人たちが各地にいます。地域再生大賞は全国の地方新聞やNHK、一般社団法人共同通信社が主催し、2010年度からNPOなどの優れた活動を毎年度、表彰しています。
秋に新聞社などが約50団体を大賞候補として推薦。選考委員の書類審査、現地調査を経て、年明けに大賞、準大賞、ブロック賞、優秀賞、特別賞を決定します。候補に選ばれたのは第13回(22年度)までで650団体に上り、その活動は子育てや高齢者の支援、観光や商店街の振興策、身近な環境の保護、移住促進など多岐にわたります。
この度、まちづくりや地域活性化に取り組む団体・個人の方々が活動の参考にしたり、受賞団体が交流のきっかけにしたりできるよう、地域再生大賞のホームページに、活動分野別、地域別、受賞歴別に団体を検索できるデータベースを新設しました。少しでも皆さんの「地域再生」のお役に立てたらと考えています。

上記の」記事は2024.01.28付け京都新聞滋賀版に掲載されました。
地域再生大賞とは:進む人口減少、少子高齢化…。厳しい状況の中、自分たちの住む地域を元気にしようと頑張っている人たちが各地にいます。地域再生大賞は全国の地方新聞やNHK、一般社団法人共同通信社が主催し、2010年度からNPOなどの優れた活動を毎年度、表彰しています。
秋に新聞社などが約50団体を大賞候補として推薦。選考委員の書類審査、現地調査を経て、年明けに大賞、準大賞、ブロック賞、優秀賞、特別賞を決定します。候補に選ばれたのは第13回(22年度)までで650団体に上り、その活動は子育てや高齢者の支援、観光や商店街の振興策、身近な環境の保護、移住促進など多岐にわたります。
この度、まちづくりや地域活性化に取り組む団体・個人の方々が活動の参考にしたり、受賞団体が交流のきっかけにしたりできるよう、地域再生大賞のホームページに、活動分野別、地域別、受賞歴別に団体を検索できるデータベースを新設しました。少しでも皆さんの「地域再生」のお役に立てたらと考えています。

上記の」記事は2024.01.28付け京都新聞滋賀版に掲載されました。
2024年01月31日
赤い椿
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.01.31第一面より引用掲載させていただきました。
ことばはぼくのすべてじゃないが冬のバスからのメールは赤い椿だ 正岡豊『白い箱』

冬。バスの乗っている恋人から不意にメールが届く。寒々とした作者の心のなかに、一輪、真っ赤な椿の花が開く。心がほのかに明るんでしまう。そんな一瞬を詩的に表現した歌なのだろう。
恋人の言葉ひとつで明るむ心。言葉は「ぼく」のすべてではない。自分のすべてを支配するものではない。が、それでも、こんな風に一言で自分を劇的に変えてしまう。それが言葉なのだ。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.01.31第一面より引用掲載させていただきました。
ことばはぼくのすべてじゃないが冬のバスからのメールは赤い椿だ 正岡豊『白い箱』

冬。バスの乗っている恋人から不意にメールが届く。寒々とした作者の心のなかに、一輪、真っ赤な椿の花が開く。心がほのかに明るんでしまう。そんな一瞬を詩的に表現した歌なのだろう。
恋人の言葉ひとつで明るむ心。言葉は「ぼく」のすべてではない。自分のすべてを支配するものではない。が、それでも、こんな風に一言で自分を劇的に変えてしまう。それが言葉なのだ。(大辻隆弘)
2024年01月30日
石鎚山登攀の夢
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
靄(もや)ごもる石鎚仰ぐ
初三十日(はつみそか)
加藤耕子『自然』

初三十日、春隣の季節である。
暖国四国とはいえ、海抜1982㍍の名山石鎚の冬は厳しい。1月も末を迎え、潤んで靄がかる。信仰の山だけに、ほっと気持ちが和む。
松山に行くたびに仰ぎ、いつか登りたいと願い、果たせないできた。
山国に育ちながら、山への憧れが強い青年期が戦後の飢餓時代と重なり、山岳縦走の余裕がなかった。いつでも登れると思ったのである。
しかし、山は苦しいとき、飢える気持ちで登るのが最高ではないか。石鎚登攀は夢であった。(宮坂静生)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
靄(もや)ごもる石鎚仰ぐ
初三十日(はつみそか)
加藤耕子『自然』

初三十日、春隣の季節である。
暖国四国とはいえ、海抜1982㍍の名山石鎚の冬は厳しい。1月も末を迎え、潤んで靄がかる。信仰の山だけに、ほっと気持ちが和む。
松山に行くたびに仰ぎ、いつか登りたいと願い、果たせないできた。
山国に育ちながら、山への憧れが強い青年期が戦後の飢餓時代と重なり、山岳縦走の余裕がなかった。いつでも登れると思ったのである。
しかし、山は苦しいとき、飢える気持ちで登るのが最高ではないか。石鎚登攀は夢であった。(宮坂静生)
2024年01月29日
春はもうすぐそこに
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
水仙が盛りになれば白梅の暖(ゆる)び初めたり
父母の家 鳥居あけみ『ふだう一房』

冬、あらゆる花に先立って開く水仙。その白い花と凛とした立ち姿は実にすがすがしい。
水仙が盛りを迎えると立春も近い。今までは硬かった梅のつぼみもゆっくりとゆるび始める頃となる。
久しぶりに故郷の家に帰った作者は、庭先の変化におのずからなる季節の動きを改めて感じたのだろう。寒さは厳しいが、気がつくと、1月ももう最終盤。春はすぐそこに立っている。
(大辻隆弘)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
水仙が盛りになれば白梅の暖(ゆる)び初めたり
父母の家 鳥居あけみ『ふだう一房』

冬、あらゆる花に先立って開く水仙。その白い花と凛とした立ち姿は実にすがすがしい。
水仙が盛りを迎えると立春も近い。今までは硬かった梅のつぼみもゆっくりとゆるび始める頃となる。
久しぶりに故郷の家に帰った作者は、庭先の変化におのずからなる季節の動きを改めて感じたのだろう。寒さは厳しいが、気がつくと、1月ももう最終盤。春はすぐそこに立っている。
(大辻隆弘)
2024年01月28日
地域再生大賞、受賞決まる!
第14回地域再生大賞(共同通信社主催)優秀賞の栄誉に「島学区まちづくり協議会」の活動が認められました!
ありがとうございます。
「古くからの農村の宝物掘り起こし、交流人口拡大」
古い歴史を持つ地域の忘れられかけていた宝物を掘り起こすことで、地域の連帯や結束につなげる-。近江八幡市島学区まちづくり協議会は、そんな試みを続けています。少子化、高齢化は避けられない現実ですが、あらたな住民や農業入植する人たちも少なくありません。(詳しくは下記HP参照してください)
https://chiikisaisei.jp/14th-awards

ありがとうございます。
「古くからの農村の宝物掘り起こし、交流人口拡大」
古い歴史を持つ地域の忘れられかけていた宝物を掘り起こすことで、地域の連帯や結束につなげる-。近江八幡市島学区まちづくり協議会は、そんな試みを続けています。少子化、高齢化は避けられない現実ですが、あらたな住民や農業入植する人たちも少なくありません。(詳しくは下記HP参照してください)
https://chiikisaisei.jp/14th-awards

2024年01月27日
死生観
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
いつの日も冬野の真中
帰りくる 平井照敏『枯野』

厳しい句である。作者はフランス文学にも堪能で俳人としての自負もあった。「メメント・モリ」(死を忘れるな)という死生観を持っており、死の側から生を詠う作者であった。こんな不思議な句もある。
「死顔が満月になるまで歩く」
私は、月の朔(さく)(新月)から望(もち)(満月)までの運行を想像した。月が太陽に包まれると真っ黒。それが「死顔」。次第に明るくなり生きた顔の果てが「満月」。またこんな句もある。
「ふと咲けば山茶花(サザンカ)の散りはじめかな」。これは巧い。(宮坂静生)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
いつの日も冬野の真中
帰りくる 平井照敏『枯野』

厳しい句である。作者はフランス文学にも堪能で俳人としての自負もあった。「メメント・モリ」(死を忘れるな)という死生観を持っており、死の側から生を詠う作者であった。こんな不思議な句もある。
「死顔が満月になるまで歩く」
私は、月の朔(さく)(新月)から望(もち)(満月)までの運行を想像した。月が太陽に包まれると真っ黒。それが「死顔」。次第に明るくなり生きた顔の果てが「満月」。またこんな句もある。
「ふと咲けば山茶花(サザンカ)の散りはじめかな」。これは巧い。(宮坂静生)
2024年01月26日
ふるさとの山
『ふるさとの山』
※中日新聞2024.01.18第一面「中日春秋」より引用掲載させていただきました。


写真は、滋賀県近江八幡市島学区のシンボル「元富士」こと奥島山。別名「権現山」(ごんげんさん)2024.01.25撮影
山岳紀行で知られる作家、登山家の深田久弥(きゅうや)(1903~71年)は、加賀の大聖寺(現石川県加賀市)生まれ。『日本百名山』にこう書いた▼「日本人は大ていふるさとの山を持っている。山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。そしてその山を眺めながら育ち、成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている」▼自身のふるさとの山は白山という。2702㍍。生家の2階からも、小学校の門からも、鮒釣りの川辺からも、気高く美しく見えたと記す。(中略~能登半島地震の被災地石川県輪島市の中学生の集団避難。親と離れる心中を察し、付加だが愛した霊峰の加護を祈る▼輪島のふるさとの山は高州山らしい。嶽山とも呼ばれ輪島塗りの職人も足腰の鍛錬で毎年山開きには登るという。)▼深田はふるさとの山のありがたさをこうも書いている。「どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる」。その日はきっとすぐに来る。
※中日新聞2024.01.18第一面「中日春秋」より引用掲載させていただきました。


写真は、滋賀県近江八幡市島学区のシンボル「元富士」こと奥島山。別名「権現山」(ごんげんさん)2024.01.25撮影
山岳紀行で知られる作家、登山家の深田久弥(きゅうや)(1903~71年)は、加賀の大聖寺(現石川県加賀市)生まれ。『日本百名山』にこう書いた▼「日本人は大ていふるさとの山を持っている。山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。そしてその山を眺めながら育ち、成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている」▼自身のふるさとの山は白山という。2702㍍。生家の2階からも、小学校の門からも、鮒釣りの川辺からも、気高く美しく見えたと記す。(中略~能登半島地震の被災地石川県輪島市の中学生の集団避難。親と離れる心中を察し、付加だが愛した霊峰の加護を祈る▼輪島のふるさとの山は高州山らしい。嶽山とも呼ばれ輪島塗りの職人も足腰の鍛錬で毎年山開きには登るという。)▼深田はふるさとの山のありがたさをこうも書いている。「どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる」。その日はきっとすぐに来る。
2024年01月26日
十勝平野
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
樹(き)とおなじ色なる影を従へて歩めり
霧氷きらめくあした
時田則雄『売買川』

作者の時田は十勝平野で農を営む歌人。この季節、十勝平野は芯から冷え凍る。厳寒のなか、空中の水蒸気が氷の粒となって朝日に煌(きら)めく。ダイヤモンドダストだ。
そんな朝、作者は広大な農場を歩く。雪が積もった平野に冬木の影がまっすぐに延びている。その陰と同じ黒さの影を伸ばして作者は、ずんずん、雪の中を歩いてゆく。作者の歩みにつれて長い影が、朝日に輝く雪原を渡ってゆく。(大辻隆弘)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
樹(き)とおなじ色なる影を従へて歩めり
霧氷きらめくあした
時田則雄『売買川』

作者の時田は十勝平野で農を営む歌人。この季節、十勝平野は芯から冷え凍る。厳寒のなか、空中の水蒸気が氷の粒となって朝日に煌(きら)めく。ダイヤモンドダストだ。
そんな朝、作者は広大な農場を歩く。雪が積もった平野に冬木の影がまっすぐに延びている。その陰と同じ黒さの影を伸ばして作者は、ずんずん、雪の中を歩いてゆく。作者の歩みにつれて長い影が、朝日に輝く雪原を渡ってゆく。(大辻隆弘)
2024年01月25日
まんざい
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
万歳や踏みかためたる
京の土 蕪村『蕪村全句集』

蕪村の知られた俳画「万歳図画賛」に載る句である。太夫が舞い、才蔵が鼓を打ち、向き合った1尺足らずの墨画淡彩の中央に書かれている。
落款には夜半亭にて写すとあり、尾形仂は明和8(1771)の春の作と推測する。蕪村が新参の俳諧宗匠として京都俳壇への挨拶句ではないかという。
京は千古の都、先人が踏み固めたおめでたい地ですが、どうか新参者をよろしく。なみなみならぬ意欲満々の決意の句ではないか。俳画も自信の作らしい。(宮坂静生)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
万歳や踏みかためたる
京の土 蕪村『蕪村全句集』

蕪村の知られた俳画「万歳図画賛」に載る句である。太夫が舞い、才蔵が鼓を打ち、向き合った1尺足らずの墨画淡彩の中央に書かれている。
落款には夜半亭にて写すとあり、尾形仂は明和8(1771)の春の作と推測する。蕪村が新参の俳諧宗匠として京都俳壇への挨拶句ではないかという。
京は千古の都、先人が踏み固めたおめでたい地ですが、どうか新参者をよろしく。なみなみならぬ意欲満々の決意の句ではないか。俳画も自信の作らしい。(宮坂静生)
2024年01月24日
LPレコード
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.01.24第一面より引用掲載させていただきました。
レコードを裏返すようなしづかさで母の枕の位置を
ととのふ 田中愛子『秋の水深』

LPレコードを聴く。A面の楽章が終わる。ターンテーブルを止める。レコードの両端を持ち、慎重にそれを裏返す。そんな静かな充溢(じゅういつ)感が伝わってくる。
が、レコードも過去の遺物。それを裏返すときの静かな興奮を知る人も少なくなった。寂しいことだ。
作者は昭和29年生まれ。この歌は母親を介護していた時の歌。母の枕を直しながら、あのしずかさを胸の中で思い出す。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.01.24第一面より引用掲載させていただきました。
レコードを裏返すようなしづかさで母の枕の位置を
ととのふ 田中愛子『秋の水深』

LPレコードを聴く。A面の楽章が終わる。ターンテーブルを止める。レコードの両端を持ち、慎重にそれを裏返す。そんな静かな充溢(じゅういつ)感が伝わってくる。
が、レコードも過去の遺物。それを裏返すときの静かな興奮を知る人も少なくなった。寂しいことだ。
作者は昭和29年生まれ。この歌は母親を介護していた時の歌。母の枕を直しながら、あのしずかさを胸の中で思い出す。(大辻隆弘)