2024年08月31日

秋風吹いて

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.31第一面より引用掲載させていただきました。
やわらかい皮膚のような川面へと秋風吹いてマッサージする  赤井千代『海の天女』

 八月も今日で終わり。史上もっとも熱い夏と言われる夏だったが九月の声を聞けば、少しだけでも秋を感じる事ができるのだろうか。
 やわらかい風が川面を吹き渡ってゆく。川面にかすかな風紋が走り、水面は産毛に覆われた皮膚のように見える。その肌のうえを風はマッサージするように吹きすぎてゆく。
 すずやかな風の手のひらが癒やしを与えてくれる。そんな秋が待ち遠しい。(大辻隆弘)
  


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2024年08月29日

毬栗の木

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.29第一面より引用掲載させていただきました。
いま落ちしばかりと見ゆる青き毬(いが)どの木が親か林に仰ぐ   青木道枝『時を織る』

 山道を歩いてゆくと、もう毬栗が道の上に落ちている。まだみずみずしい。針の一本一本、その先端まであざやかな緑が走っている。
 まだ八月なのにこの毬栗はどの木からこぼれ落ちたのかしら・・・。そう思った作者はまなざしを空に向け、この栗の「親の木」を探したのだろう。が、そこは深い林。どの木から落ちたのかはわからない。風に吹かれた栗のカサカサという葉擦れの音が耳に届くだけだ。(大辻隆弘)
  


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2024年08月28日

枯れ草

おはよう今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.27第一面より引用掲載させていただきました。
ふとぶとと八月の陽の射す道に枯れたるのちも草は茂りぬ  吉川宏志『叡電のほとり』

 夏のあいだほしいままに繁茂した雑草たち。雨の降らない八月、強い陽射しを浴びて草たちはさすがに萎びてしまっている。
 が、それでも彼らはたくましい。自分が占めた位置を誰にも譲るまいとばかり、枯れながらもそこにはびこり続けている。
 晩夏、かすかに傾いだ日の光は盛夏よりもむしろ太々とした筋に見える。過ぎ去ろうとする季節と草の命の交差がそこにある。(大辻隆弘)
  


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2024年08月24日

夏椿

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.24第一面より引用掲載させていただきました。
夏椿(つばき)これが普通と思っていた咲いても咲いてもただ散るばかり  川本千栄『裸眼』

 夏椿が咲いている。普通の椿よりやや小ぶり。花びらの縁はチリメンのように縮れている。真夏に咲くその白はすがやかで美しい。
 夏椿は花ごとポトリと落ちる。花期が長いので落ちる花がある一方、新しい花が咲く。かつて作者はそれを普通のことと思っていたのだろう。
 が、今日は、その咲き方がなぜか心に沁みる。散っても散っても、また次々に新たな花を咲かせてゆく。そんな花の営みに。(大辻隆弘)
  


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2024年08月23日

雑魚寝

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.23第一面より引用掲載させていただきました。
雑魚寝して襖(ふすま)はづしの合掌家    能村研三『磁気』

 飛騨の白川郷詠か。大勢で吟行し間仕切りの襖を外し、雑魚寝をした。「襖はづし」が夏の風通しをよくするために用いられている。
 かつて私も、学生を連れて富山の五箇山相倉合掌家へ宿泊し、似た体験をした。若い日であった。
 研三の父能村登四郎の「合掌部落」詠が昭和30年10月、総合誌に出た。「暁紅に露の藁屋根合掌す」など御母衣ダム建設のために湖底に沈む白川郷を惜しむ俳句による記念碑的ルポタージュだった。親子二代の風土詠に注目する。(宮坂静生)
  


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2024年08月22日

クジラの骨格標本

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.22第一面より引用掲載させていただきました。
鯨骨を天井に吊りその下をゆきかふ魚の敬虔(けいけん)をもて    川野芽生『星の嵌(は)め殺し』

 夏の水族館。天井から吊り下げられたナガスクジラの骨格の下を人々があるいてゆく。作者はその様子を二階のフロアから見下ろしているのだろう。
 カップル、家族連れ。人々はそれぞれ会話を楽しみながら歩いている。が、二階から見るとその姿はどこか静かで敬虔に見える。それはちょうど巨大な鯨の腹の下を泳ぐ魚たちのようだ。晩夏の水族館の冷ややかさが伝わってくる。(大辻隆弘)
  


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2024年08月20日

カップ麺と菓子パン

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.20第一面より引用掲載させていただきました。
夏休み中の昼休憩は四十五分カップ麺にお湯注ぐ人、パンかじる人    斎藤千代『月曜バック』

 生徒たちは夏休みだけれど、教員はもちろん、夏休み中も出勤をする。部活動やら補習授業やら、二学期の用意やら、研修会やら、それなりに忙しい。が、さすがに夏休み。学期中の殺人的な忙しさと比べるといくらか余裕がある。
 クーラーの効いた職員室で所在なげに教師が座っている。学期中は給食が出るけれど夏期休業中はそれもお休み。カップ麺や菓子パンで昼をすます教師たち。(大辻隆弘)
  


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2024年08月17日

鹿島槍が岳

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.17第一面より引用掲載させていただきました。
雲海の波打ち際に
    鹿島槍ケ岳
  広渡敬雄『風紋』

 なぜ山に登るのか。古来問われ続ける問いである。山が好きだから。なぜ俳句をつくるのか。俳句が好きだから。
 山へ登る俳人はこんな問いを何回も重ねながら、雲海を前に、鹿島槍ヶ岳の頂上に来た。後立山連峰の主峰の一つ。鹿島槍南峰(2889㍍)がここ。「再びは来ぬ頂きや御来光」も同時作。堪能したのである。
 雲海の大海原が沖へ広がる。その渚にあたる手前の波打ち際に佇む。青春は疾うに過ぎ、高山への登攀はこれで打ち止めか。(宮坂静生)
  


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2024年08月17日

島の夏まつり番外編

サマーフェスタ in shima2024のの模様「番外編」
当日の様子を、まち協役員専属カメラマンのナイスショットを贈ります。

「え~?なんで倒れないの?」

「そ~れ!簡単なもんやで! (えっ、なんで?)惜しいなあ!」

「チョイス!ゲットしたぜ!あれもいくど~」

会場風景「楽しそうな、仲間たち」  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:11Comments(0)学区まちづくり協議会事業

2024年08月13日

お盆の迎え火、送り火

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.08.13第一面より引用掲載させていただきました。
芋殻火(おがらび)の終わりに息を足しにけり    西山睦『春火桶』

 八月の入り盆が来る。夕方に芋殻火を焚き、仏を招く。芋殻はぱああと燃えてしまい、物足りない感じか。その余韻を「息を足し」といった。あるいは、送り火ともとれるが、ここは迎え盆とみる。迎え火も送り火も儀式である。そこに郷愁がある。
 わが家では樺火(かばび)を焚く。油煙が立ち、炎は激しく、跡に焦げ跡が付く。
 私は淡いのがいい。芋殻火を焚いてみたい。ぽつぽつ焚かれる側に回るが、向こうからは見えるかしら。先方からのため息が聞こえる気がする。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:22Comments(0)出来事