2023年06月29日
信濃は蛍籠
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.29第一面より引用掲載させていただきました。
みすずかる信濃は大き蛍籠 伊藤伊那男『然々と(しかじか)』

作者は伊那谷の駒ヶ根市生まれ。諏訪湖から流れ出す天竜川の口元、辰野は蛍の町として名高い。
みすずは篠竹、信濃に多いことからみすずかるは信濃の枕言葉。蛍が飛び交う環境を暗示したものか。
信濃を蛍籠に見立てた国褒めの句であり、スケールが大きい。夏の夜に南北270㌔、東西80㌔の信濃にいっせいに蛍火が灯されたならば、蛍の乱舞、狂宴であろう。
作者は浪漫の人。会社経営を経て、神田神保町に人の世の「蛍籠」、酒亭「銀漢亭」を開いた。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.06.29第一面より引用掲載させていただきました。
みすずかる信濃は大き蛍籠 伊藤伊那男『然々と(しかじか)』

作者は伊那谷の駒ヶ根市生まれ。諏訪湖から流れ出す天竜川の口元、辰野は蛍の町として名高い。
みすずは篠竹、信濃に多いことからみすずかるは信濃の枕言葉。蛍が飛び交う環境を暗示したものか。
信濃を蛍籠に見立てた国褒めの句であり、スケールが大きい。夏の夜に南北270㌔、東西80㌔の信濃にいっせいに蛍火が灯されたならば、蛍の乱舞、狂宴であろう。
作者は浪漫の人。会社経営を経て、神田神保町に人の世の「蛍籠」、酒亭「銀漢亭」を開いた。(宮坂静生)
2023年06月24日
山椒魚(サンショウウオ)
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.24第一面より引用掲載させていただきました。
はんざきのどさりと抛(ほう)りたるごとし
森賀まり『しみづあたたかをふくむ』

はんざきは山椒魚。夏の渓流に生息する両生類。動物園で見た大きいものは100㌢ほどにもあった。呼称はすごい。半裂きにしても死なないとか。いかにも前世紀の遺物のようなグロテスクなさまがかえって物語になる。山椒魚は動きが鈍い。どさっと身をなげたままうごかないようだ。
私は、井伏鱒二の「山椒魚は悲しんだ」(『山椒魚』)という短い小説を教科書で習って以来、なにか困難なことがあると、この文句をつぶやくのである。名作に書かれ、山椒魚は今も岩屋で生き続けている。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.06.24第一面より引用掲載させていただきました。
はんざきのどさりと抛(ほう)りたるごとし
森賀まり『しみづあたたかをふくむ』

はんざきは山椒魚。夏の渓流に生息する両生類。動物園で見た大きいものは100㌢ほどにもあった。呼称はすごい。半裂きにしても死なないとか。いかにも前世紀の遺物のようなグロテスクなさまがかえって物語になる。山椒魚は動きが鈍い。どさっと身をなげたままうごかないようだ。
私は、井伏鱒二の「山椒魚は悲しんだ」(『山椒魚』)という短い小説を教科書で習って以来、なにか困難なことがあると、この文句をつぶやくのである。名作に書かれ、山椒魚は今も岩屋で生き続けている。(宮坂静生)
2023年06月23日
百葉箱
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.23第一面より引用掲載させていただきました。
百葉箱のなかに住みたし、するすると縄梯子(なわばしご)など上げ下ろしして
真中朋久『cineres』

小学校の中庭の日陰に百葉箱が立っている。気温や湿度を性格に測るための施設である。
細長い4本の脚の上に、白い小さな木箱が置かれている。まるでログハウスのようだ。自分が小さな人間になってあんな家に住めたらどんあにかいいだろう。買い物に行く時にはあの白い家から縄梯子を下ろす。家に帰るときはそれを登る。楽しいだろうな。そんな子どものような想像に心遊ばせる作者。
(大辻隆弘)
※日本農業新聞2023.06.23第一面より引用掲載させていただきました。
百葉箱のなかに住みたし、するすると縄梯子(なわばしご)など上げ下ろしして
真中朋久『cineres』

小学校の中庭の日陰に百葉箱が立っている。気温や湿度を性格に測るための施設である。
細長い4本の脚の上に、白い小さな木箱が置かれている。まるでログハウスのようだ。自分が小さな人間になってあんな家に住めたらどんあにかいいだろう。買い物に行く時にはあの白い家から縄梯子を下ろす。家に帰るときはそれを登る。楽しいだろうな。そんな子どものような想像に心遊ばせる作者。
(大辻隆弘)
2023年06月22日
鬱梅雨茸
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.22第一面より引用掲載させていただきました。
晴れの日は晴れの日の鬱梅雨茸 田子慕古『霧襖』

本来、晴れの日は鬱(うつ)などないから晴れの日なのである。ところが、晴れていても清々しないといえば、梅雨の晴れ間なのであろう。そこで、梅雨茸が付く。句には、いささかの気付きがある。
もっと違う下五音、例えば鮮やかな百日紅ならば、一見、鬱はないはずだ。そこで、どこが鬱なのか、現代的な鬱が問題になる。
私は、後者のような「晴れの日の鬱」に魅力を感じる。梅雨茸では梅雨という小さい宇宙に限定される点が物足りない。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.06.22第一面より引用掲載させていただきました。
晴れの日は晴れの日の鬱梅雨茸 田子慕古『霧襖』

本来、晴れの日は鬱(うつ)などないから晴れの日なのである。ところが、晴れていても清々しないといえば、梅雨の晴れ間なのであろう。そこで、梅雨茸が付く。句には、いささかの気付きがある。
もっと違う下五音、例えば鮮やかな百日紅ならば、一見、鬱はないはずだ。そこで、どこが鬱なのか、現代的な鬱が問題になる。
私は、後者のような「晴れの日の鬱」に魅力を感じる。梅雨茸では梅雨という小さい宇宙に限定される点が物足りない。(宮坂静生)
2023年06月21日
公園の噴水
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.21第一面より引用掲載させていただきました。
時刻(とき)を置き噴きあがりくる噴水を背後に待てり公園の午後 藤岡武雄『天空の夢』

梅雨の晴れ間。午後の公演で子ども達が歓声をあげている。噴水だ。地面から間欠泉のように吹き上がる水に子どもたちの服がぬれる。その領域だけ、空気が湿気を帯びひんやりする。
大正15年生まれの作者は、そんな公園でひとときを過しているのだろう。背後で水が吹き上がる。冷たい空気が背後から流れてくる。ベンチに座る作者の首筋がしっとりとぬれる。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2023.06.21第一面より引用掲載させていただきました。
時刻(とき)を置き噴きあがりくる噴水を背後に待てり公園の午後 藤岡武雄『天空の夢』

梅雨の晴れ間。午後の公演で子ども達が歓声をあげている。噴水だ。地面から間欠泉のように吹き上がる水に子どもたちの服がぬれる。その領域だけ、空気が湿気を帯びひんやりする。
大正15年生まれの作者は、そんな公園でひとときを過しているのだろう。背後で水が吹き上がる。冷たい空気が背後から流れてくる。ベンチに座る作者の首筋がしっとりとぬれる。(大辻隆弘)
2023年06月20日
アガパンサス(紫君子蘭)
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.19第一面より引用掲載させていただきました。
まとひつく湿気を払ひアガパンサスすつくと立てり梅雨の晴れ間を 高田マヤ『清浄歓喜』

アガパンサスの和名は「紫君子蘭」。その名にふさわしく丈高い草である。梅雨時の湿気を払うように庭の隅に立っている。紫の花は花火がはじけたようだ。その姿に作者は一瞬うっとうらしさを忘れたのだろう。
アガパンサスの語源は「神の愛」を意味する「アガぺ」と花を意味する「アンサス」が合わさったものだという。そういえば、この花には、どこかギリシャの神々を思わせる明るさがある。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2023.06.19第一面より引用掲載させていただきました。
まとひつく湿気を払ひアガパンサスすつくと立てり梅雨の晴れ間を 高田マヤ『清浄歓喜』

アガパンサスの和名は「紫君子蘭」。その名にふさわしく丈高い草である。梅雨時の湿気を払うように庭の隅に立っている。紫の花は花火がはじけたようだ。その姿に作者は一瞬うっとうらしさを忘れたのだろう。
アガパンサスの語源は「神の愛」を意味する「アガぺ」と花を意味する「アンサス」が合わさったものだという。そういえば、この花には、どこかギリシャの神々を思わせる明るさがある。(大辻隆弘)
2023年06月17日
2023年06月17日
2023年06月17日
島学区まちづくり協議会ニュース7月号3のうちの1
まち協ニュース7月号が出来ました。
#健康は全ての源泉
#苔玉づくり教室
&「どないしてはる」行動開始!
&パールワークショップ開催!
$今年も蛍が見られました
$一緒に囲碁をやりませんか
%今年の「島の夏祭り」のお知らせ
%はじめてのスマートフォン教室

*7月の子育てサロンのお知らせ
#健康は全ての源泉
#苔玉づくり教室
&「どないしてはる」行動開始!
&パールワークショップ開催!
$今年も蛍が見られました
$一緒に囲碁をやりませんか
%今年の「島の夏祭り」のお知らせ
%はじめてのスマートフォン教室

*7月の子育てサロンのお知らせ
2023年06月16日
枇杷(ビワ)の実
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.06.16第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷(ビワ)いろに昏(く)れゆく窓を震わせて遠ざかりゆく雷鳴をきく 浅野美紀『春いろのマフィン』

暗緑の堅い葉のむらりのなかにビワの実が見える。まるでランプが点(とも)っているかのような黄色だ。
おりしも時刻は夕ぐれどき。窓は一面ビワの実のようないろの夕映えに染まる。雨はもうやんだ。はるかな雷鳴だけがかすかに窓ガラスを揺らして遠ざかってゆく。そんな情景を美しく描いた一首である。
梅雨がはじまる。雨のなかに美しさを感じ取る。そんな感性を持ち続けたい。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2023.06.16第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷(ビワ)いろに昏(く)れゆく窓を震わせて遠ざかりゆく雷鳴をきく 浅野美紀『春いろのマフィン』

暗緑の堅い葉のむらりのなかにビワの実が見える。まるでランプが点(とも)っているかのような黄色だ。
おりしも時刻は夕ぐれどき。窓は一面ビワの実のようないろの夕映えに染まる。雨はもうやんだ。はるかな雷鳴だけがかすかに窓ガラスを揺らして遠ざかってゆく。そんな情景を美しく描いた一首である。
梅雨がはじまる。雨のなかに美しさを感じ取る。そんな感性を持ち続けたい。(大辻隆弘)