2024年06月29日
草色の文鎮
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.29第一面より引用掲載させていただきました。
草色の文鎮を置くそののちも風にさらはれゆく紙の音
金田光世『遠浅の空』

梅雨の晴れ間。青葉を激しく鳴らして一陣の風が吹き渡る。窓をあけているとその風が部屋のあかを通り過ぎてゆく。机上においた紙が風に吹かれて散乱する。
それを防ぐために作者は文鎮を載せる。文鎮の色は窓の外の野に合わせたような草色だ。さあ、これで大丈夫、と思っていると、また疾風が窓から入って紙が飛ばされてしまう。
正岡子規の「夏嵐机上の白紙飛び尽す」想起させる歌。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.06.29第一面より引用掲載させていただきました。
草色の文鎮を置くそののちも風にさらはれゆく紙の音
金田光世『遠浅の空』

梅雨の晴れ間。青葉を激しく鳴らして一陣の風が吹き渡る。窓をあけているとその風が部屋のあかを通り過ぎてゆく。机上においた紙が風に吹かれて散乱する。
それを防ぐために作者は文鎮を載せる。文鎮の色は窓の外の野に合わせたような草色だ。さあ、これで大丈夫、と思っていると、また疾風が窓から入って紙が飛ばされてしまう。
正岡子規の「夏嵐机上の白紙飛び尽す」想起させる歌。(大辻隆弘)
2024年06月28日
瀧の前に立つ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.28第一面より引用掲載させていただきました。
五十年なぞは束の間滝の前 鈴木しげを『普段』

大きな滝がごうごうと水量を落とす。なにも思い浮かばない。僅かに歳をとったなという単純な思いのみ。自然の大きさの前では身一つが揺さぶられる。
作者が俳誌「鶴」入会し、石田波郷に師事して以来50余年。2013年には同誌の主宰に就く。
夢中であった半世紀。過ぎてみれば、束の間。淡泊である。それだけ一日一日やれることはやってきた充実感に満たされた思いがあろう。
掲句の滝は波瀾万丈の昭和史が思い浮かぶ。(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.06.28第一面より引用掲載させていただきました。
五十年なぞは束の間滝の前 鈴木しげを『普段』

大きな滝がごうごうと水量を落とす。なにも思い浮かばない。僅かに歳をとったなという単純な思いのみ。自然の大きさの前では身一つが揺さぶられる。
作者が俳誌「鶴」入会し、石田波郷に師事して以来50余年。2013年には同誌の主宰に就く。
夢中であった半世紀。過ぎてみれば、束の間。淡泊である。それだけ一日一日やれることはやってきた充実感に満たされた思いがあろう。
掲句の滝は波瀾万丈の昭和史が思い浮かぶ。(宮坂静生)
2024年06月27日
平泉冷麺
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.27第一面より引用掲載させていただきました。
平泉冷麺に浮く氷片は透明なれば聖なる感じ
河浦奈々『硝子のあひる』

私はまだ行ったことがないが、岩手県の平泉は冷麺で有名らしい。ネットで検索してみると、薄い金色にしっとりと沈んだ麺の写真が見つかった。いかにも涼し気だ。
旅の途中、作者は平泉でその冷麺を注文したのだろう。薄く張ったスープには氷のかけらが浮かんでいる。感じやすくなった旅人の心はそんな氷片にさえ、何か「聖なるもの」の雰囲気を感じとる。そろそろ冷麺が恋しい季節。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.06.27第一面より引用掲載させていただきました。
平泉冷麺に浮く氷片は透明なれば聖なる感じ
河浦奈々『硝子のあひる』

私はまだ行ったことがないが、岩手県の平泉は冷麺で有名らしい。ネットで検索してみると、薄い金色にしっとりと沈んだ麺の写真が見つかった。いかにも涼し気だ。
旅の途中、作者は平泉でその冷麺を注文したのだろう。薄く張ったスープには氷のかけらが浮かんでいる。感じやすくなった旅人の心はそんな氷片にさえ、何か「聖なるもの」の雰囲気を感じとる。そろそろ冷麺が恋しい季節。(大辻隆弘)
2024年06月26日
南高梅
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.26第一面より引用掲載させていただきました。
南高梅にわが家の梅も加へやりジュースとなさむ雨に籠もる日 佐々木辰子『風のルフラン』

幼いころ、梅野実がみのるころになると、私の祖母は梅酒つくりを始めた。梅の実をきれいに磨く。青みかかったみどり色の丸い実を瓶の底に沈める。氷砂糖を敷き詰め、焼酎を注ぐ。しっかり蓋をして瓶を暗みに置く。雨音を聞きながら、私はその作業を祖母のそばで見つめていた。
この歌を読むと、そんな梅雨の日の静かな午後が思い出される。作者が作ったのは梅酒ではなく梅ジュースだけれど。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.06.26第一面より引用掲載させていただきました。
南高梅にわが家の梅も加へやりジュースとなさむ雨に籠もる日 佐々木辰子『風のルフラン』

幼いころ、梅野実がみのるころになると、私の祖母は梅酒つくりを始めた。梅の実をきれいに磨く。青みかかったみどり色の丸い実を瓶の底に沈める。氷砂糖を敷き詰め、焼酎を注ぐ。しっかり蓋をして瓶を暗みに置く。雨音を聞きながら、私はその作業を祖母のそばで見つめていた。
この歌を読むと、そんな梅雨の日の静かな午後が思い出される。作者が作ったのは梅酒ではなく梅ジュースだけれど。(大辻隆弘)
2024年06月25日
まち協N7月号早見版3-1
島学区まちづくり協議会ニュース7月号
今月のラインアップ
#住みよいまちづくり推進講座
&歓声響いた球技大会
$サマーフェス2024
%地域(ふるさと)回想法
△「大切なひと」啓発ビデオ鑑賞
◆障がいのある人の正しい理解
◎暑中お見舞いの絵手紙作り
▼スマサポ号登場!
◇子育てサロンのお知らせ
□カフェ紅芭
?福祉学級のお知らせ 以上



今月のラインアップ
#住みよいまちづくり推進講座
&歓声響いた球技大会
$サマーフェス2024
%地域(ふるさと)回想法
△「大切なひと」啓発ビデオ鑑賞
◆障がいのある人の正しい理解
◎暑中お見舞いの絵手紙作り
▼スマサポ号登場!
◇子育てサロンのお知らせ
□カフェ紅芭
?福祉学級のお知らせ 以上



2024年06月22日
枇杷の実
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.22第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷の実を冷やしてやまぬけふの雨蜂のむくろも冷やしつつ降る 中根誠『鳥の声』

今日は夏至。一年で昼間が一番長い日ではある。
けれど雨。雨が降るとどこかまだ肌寒い。梅雨寒というやつだ。
冷ややかな雨のヴェールの向こうに枇杷の実が見える。火を灯したようにボーッと霧に浮かび上がっている。足元には飛びつかれた蜂のむくろ。明るい枇杷の実も、茶褐色の蜂の死体も、分け隔てることなく雨は降り冷ややかに降り続いている。そんな静かな夏至の朝。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.06.22第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷の実を冷やしてやまぬけふの雨蜂のむくろも冷やしつつ降る 中根誠『鳥の声』

今日は夏至。一年で昼間が一番長い日ではある。
けれど雨。雨が降るとどこかまだ肌寒い。梅雨寒というやつだ。
冷ややかな雨のヴェールの向こうに枇杷の実が見える。火を灯したようにボーッと霧に浮かび上がっている。足元には飛びつかれた蜂のむくろ。明るい枇杷の実も、茶褐色の蜂の死体も、分け隔てることなく雨は降り冷ややかに降り続いている。そんな静かな夏至の朝。(大辻隆弘)
2024年06月19日
2024年06月19日
エンドウ豆
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.06.19第一面より引用掲載させていただきました。
豌豆(エンドウ)のファスナーそつと開けてやる
吉田祥子『しなやかな線』

軽々としたセンスが快い。学生時代に人形劇や紙芝居を子ども達の前でやったサークル経験が句の軽さとして生かされている。
豌豆の筋をとる。ファスナーを開けると見た擬人化がそれ。
「初音聞背のファスナーを上げきれず」もある。ファスナーの小物遣いが句に明暗を与える。日常のさりげない気配りにも通じる。
俳句を作る小学校の先生は楽しいだろうなと想像する。作者の日常が伝わるような句である。「そつと」がやさしい。(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.06.19第一面より引用掲載させていただきました。
豌豆(エンドウ)のファスナーそつと開けてやる
吉田祥子『しなやかな線』

軽々としたセンスが快い。学生時代に人形劇や紙芝居を子ども達の前でやったサークル経験が句の軽さとして生かされている。
豌豆の筋をとる。ファスナーを開けると見た擬人化がそれ。
「初音聞背のファスナーを上げきれず」もある。ファスナーの小物遣いが句に明暗を与える。日常のさりげない気配りにも通じる。
俳句を作る小学校の先生は楽しいだろうなと想像する。作者の日常が伝わるような句である。「そつと」がやさしい。(宮坂静生)
2024年06月18日
全国農業新聞に掲載されました
全国農業新聞第3333号(2024.06.14発行)第6面地域・くらし版に、滋賀県近江八幡市西の湖にある湖中水田「権座」の活動が掲載されました。
見出しタイトルは「地域一体で守り続ける日本の原風景」で「舟でしか行けない田んぼ」です。
白王町集落営農組合青壮年部の仲間が作業内容をYouTubeにアップしていますので、是非ご覧ください。
バーコードも新聞に載せています。
https://www.youtube.com/@user-xw6md5of1q



見出しタイトルは「地域一体で守り続ける日本の原風景」で「舟でしか行けない田んぼ」です。
白王町集落営農組合青壮年部の仲間が作業内容をYouTubeにアップしていますので、是非ご覧ください。
バーコードも新聞に載せています。
https://www.youtube.com/@user-xw6md5of1q



2024年06月18日
つばくろ巣立ち
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2021.08.10第一面より引用掲載させていただきました。
子供にも小さき別れ燕(つばめ)の巣 田中裕明『先生からの手紙』

別れは子供にとり一番さみしい。掲句は燕の巣から雛が巣立つ別れ。毎朝、軒の巣燕を見て登校し、夕方同じ気持ちでほっとする。三週間余り、安らかな気持ちは最高。ところが、ある日、雛がいっせいに巣立つ。「小さき別れ」に涙ぐむ。
これが別れの初め。親は小さき別れがやがて、無限の哀しみに繋がることを知っている。親の転勤や転住もあれば、子供に転校もある。人生には行き別れも死別もある。
作者は優しい。小さき別れを話題にした慧眼が光る。(宮坂静生)
※日本農業新聞2021.08.10第一面より引用掲載させていただきました。
子供にも小さき別れ燕(つばめ)の巣 田中裕明『先生からの手紙』

別れは子供にとり一番さみしい。掲句は燕の巣から雛が巣立つ別れ。毎朝、軒の巣燕を見て登校し、夕方同じ気持ちでほっとする。三週間余り、安らかな気持ちは最高。ところが、ある日、雛がいっせいに巣立つ。「小さき別れ」に涙ぐむ。
これが別れの初め。親は小さき別れがやがて、無限の哀しみに繋がることを知っている。親の転勤や転住もあれば、子供に転校もある。人生には行き別れも死別もある。
作者は優しい。小さき別れを話題にした慧眼が光る。(宮坂静生)