2023年03月20日

水ぬるむ春の湖沼

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞、第一面より引用、掲載させていただきました。
一切を棄てたるごとく
        水ぬるむ
     
       阿部青鞋『ひとるたま』


 独特の表現に俳味がある。
 「或るときは洗ひざらしの蝶がとぶ」という句もある。
 春になり、湖沼や野川の水が温みを帯びてくる。「水ぬるむ」という。
 中世の連歌から用いられた春の季節のことばであるが、作者が用いると、解脱でもしたような仏心を帯びる。冬の陰気な寒さを捨てた水が生きもののようだ。本来華やかな蝶までも粗衣を纏い修行僧めく。
 作者青鞋は権律師の僧名を持ち、かつ受洗し、クリスチャン。型破りの自由人だ。(宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 10:07Comments(0)出来事