2023年03月17日

春の彼岸入

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.03.17第一面より引用掲載させていただきました。
てのひらに艶の載りきて
入彼岸
    野澤節子『駿河欄』

 彼岸入である。入彼岸との用い方に毅然とした慎ましさがある。病気がちな作者の最晩年、逝去1年前の作。
 てのひらに僅かに赤みがさしてくる。「艶の載りきて」とは回復に向かう喜びを端的に「艶」という輝きで捉え、表現している。彼岸を迎え、寒さを抜け出した病人が自らの気持ちを振るい立たせている。
 「牡丹雪しばらく息をつがぬまま」が絶句である。見事な自己凝視の深さだ。有限の生への美しい充足感がある。
               (宮坂静生)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 08:47出来事