2022年02月08日

托卵

鳴き声の綺麗なホトトギスは、他の鳥の巣に卵を産んで、育ててもらう
▼カッコウ目に共通する托卵(たくらん)である。「托」は預ける(『広辞苑』)。


自分では巣を作らず、ウグイスなど他の鳥の巣を拝借。卵を一つ追い出し、そこに産み付ける。そのひなは、どれよりも早くかえり、他の卵を外に押し出す。自分より大きくなったひなに、せっせと餌を運び続ける仮親。その”心境”やいかに▼身勝手な習性は、いにしえの歌人も気付いていた。万葉集には、「汝が父に似ては鳴かず汝が母に似ては鳴かず」とある。ひどい鳥だと思いながらも、一日中聞いていて心地よいと、無視できなかったのだろう。万葉集に最も多い153首も出てくるほどの人気だったと、山下景子著『万葉の鳥』で知った▼ホトトギスの習性がダブる中国の振る舞いである。世界貿易機関(WTO)では途上国待遇で急成長し、今年発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)で、インドが抜けて存在感を高める。さらに、TPPへの加盟申請である。米国が離脱し、11カ国が苦労して作り上げた自由貿易圏。そこに割り込んで、加盟を希望する台湾をはじき飛ばそうとする▼世界経済に欠かせぬ存在の、托卵ならぬ”かく乱”の様相である。
※日本農業新聞2022.02.08第一面「四季」より引用させていただきました。  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 09:36Comments(0)出来事

2022年02月08日

北風

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.02.08第一面より引用させていただきました。
北風になぶられやがて凍りゆく取り込まれないままのシーツは 王生令子『夕暮れの瞼』

 暦の上では春になったけれど、まだまだ寒さが続く。洗濯物を取り込むのを忘れて、夜までほうっておくと、布が凍ってしまうことがある。
 この歌に登場するシーツもそうなのだろう。油型、他人の家の前を通ったとき、作者はまだ取り込まれていない白いシーツを見つける。風に煽られて、しのシーツは冷たい肌身を晒している。
 凍りつつあるシーツ。それを見ているといたたまれない気持ちになる。(大辻隆弘)
  


Posted by ゴンザレスこと大西實 at 09:10Comments(0)出来事