2024年03月22日
2024年03月21日
2024年03月21日
花曇り
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.21第一面より引用掲載させていただきました。
燈(ひ)を消して室内もまた花曇(はなぐもり) 九里順子『日々』
昼なお薄暗い室内にいて、灯を消したものか。自然の明るさがいい。この暗さが花曇。心境が滲む。
句集収録句の初めの方に「くれかぬるくれなゐホテルの白日夢」がある。春の黄昏、ホテルのロビーのソファーにでも凭(もた)れながらうつらうつら夢をみた。紅に惹かれる思いがあろう。盛んな頃への懐旧。十分に生きながらなお糸曳く思いがある。
花曇は紅の気分がどんよりと中空に拡散した感じ。作者によると、仙台の大学に30年間勤め、退職されたとか。幸せである。(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.03.21第一面より引用掲載させていただきました。
燈(ひ)を消して室内もまた花曇(はなぐもり) 九里順子『日々』
昼なお薄暗い室内にいて、灯を消したものか。自然の明るさがいい。この暗さが花曇。心境が滲む。
句集収録句の初めの方に「くれかぬるくれなゐホテルの白日夢」がある。春の黄昏、ホテルのロビーのソファーにでも凭(もた)れながらうつらうつら夢をみた。紅に惹かれる思いがあろう。盛んな頃への懐旧。十分に生きながらなお糸曳く思いがある。
花曇は紅の気分がどんよりと中空に拡散した感じ。作者によると、仙台の大学に30年間勤め、退職されたとか。幸せである。(宮坂静生)
2024年03月20日
白モクレン
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.20第一面より引用掲載させていただきました。
いつであれ見えて見えざる空の棚白木蓮は(はくもくれん)は低く置かれて
阪森郁代『月の余韻』
ハクモクレンが典雅に咲いている。長年、学校教師をしている私は、この花が咲くと「ああ今年度も終わりだなあ」という感慨にとらわれる。
この歌は想像力の歌。空は大きな「棚」なのだ。何段にもなるその棚には、さまざまなものが置かれている。高い雲、低い雲、高層ビル。その一番下の低い段にハクモクレンが置かれている。作者はそんなふうに感じるのだ。
ハクモクレンを置いたのは神様なのかも知れない。
(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.03.20第一面より引用掲載させていただきました。
いつであれ見えて見えざる空の棚白木蓮は(はくもくれん)は低く置かれて
阪森郁代『月の余韻』
ハクモクレンが典雅に咲いている。長年、学校教師をしている私は、この花が咲くと「ああ今年度も終わりだなあ」という感慨にとらわれる。
この歌は想像力の歌。空は大きな「棚」なのだ。何段にもなるその棚には、さまざまなものが置かれている。高い雲、低い雲、高層ビル。その一番下の低い段にハクモクレンが置かれている。作者はそんなふうに感じるのだ。
ハクモクレンを置いたのは神様なのかも知れない。
(大辻隆弘)
2024年03月19日
散る桜
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.19第一面より引用掲載させていただきました。
散りぬるを桜語りの流難譚(りゅうりたん) 仁平勝『花盗人』
花時を迎える。花の盛りよりも、散る哀愁に日本人は記憶した。いろは歌に歌われた情著を貴種流離譚に仕立てたのは折口信夫である。
伊勢物語の在原業平(ありわらのなりひら)は都を捨てて東国(あずまのくに)へ生きる天地を求めて流されてゆく。奥州平泉へ救いを求めた義経も同じ。須磨への光源氏も壇ノ浦の平家一門もこれらは西国への敗者。
先年、隠岐の島の後鳥羽院の後を訪ね、院を支えた島人の純情に触れた。牛突きまで催し、慰めている。
散る桜の哀しみを聡明な貴種はいかに噛みしめたことか。(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.03.19第一面より引用掲載させていただきました。
散りぬるを桜語りの流難譚(りゅうりたん) 仁平勝『花盗人』
花時を迎える。花の盛りよりも、散る哀愁に日本人は記憶した。いろは歌に歌われた情著を貴種流離譚に仕立てたのは折口信夫である。
伊勢物語の在原業平(ありわらのなりひら)は都を捨てて東国(あずまのくに)へ生きる天地を求めて流されてゆく。奥州平泉へ救いを求めた義経も同じ。須磨への光源氏も壇ノ浦の平家一門もこれらは西国への敗者。
先年、隠岐の島の後鳥羽院の後を訪ね、院を支えた島人の純情に触れた。牛突きまで催し、慰めている。
散る桜の哀しみを聡明な貴種はいかに噛みしめたことか。(宮坂静生)
2024年03月16日
苺パック
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.16第一面より引用掲載させていただきました。
「苺パックひとり一個」とこゑ低く教へてくれるレジのをみなは 西崎恭司『けふの青空』
イチゴの季節である。いろいろな品種があり選ぶのが楽しい。私は少し酸っぱさが残る「やよいひめ」という品種が好きである。
作者もイチゴ好きなのだろう。三パックも四パックも買って、スーパーのレジにならぶ。「お客さま、申し訳ございません。イチゴはおひとりさま一パックまでで・・・・・・」。レジの女性がそんな風にやさしく声を掛けてくれたのだろう。「こゑ低く教えてくれる」に気持ちが滲(にじ)む。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.03.16第一面より引用掲載させていただきました。
「苺パックひとり一個」とこゑ低く教へてくれるレジのをみなは 西崎恭司『けふの青空』
イチゴの季節である。いろいろな品種があり選ぶのが楽しい。私は少し酸っぱさが残る「やよいひめ」という品種が好きである。
作者もイチゴ好きなのだろう。三パックも四パックも買って、スーパーのレジにならぶ。「お客さま、申し訳ございません。イチゴはおひとりさま一パックまでで・・・・・・」。レジの女性がそんな風にやさしく声を掛けてくれたのだろう。「こゑ低く教えてくれる」に気持ちが滲(にじ)む。(大辻隆弘)
2024年03月15日
2024年03月15日
新幹線が見える駅
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.15第一面より引用掲載させていただきました。
新幹線めくるめくゆく大地春 加藤哲也『最終列車』
たまたま武蔵小杉駅のホームに立ち、湘南新宿ラインの電車を待っている。その間に、少し高いところを東海道新幹線の下りが通過する。流石に速い。東海道新幹線は時速270㌔。この先には、富士を右に、静岡や愛知の明るい春の大地が控えている。そこへ突っ込んでゆく。
因(ちな)みに、湘南新宿ラインも71.4㌔と東京横浜間は速い。山国に住んでいると、電車が川崎辺りの平地を滑るように走ることさえ感心する。
揺れないのである。これは硬い鉄板の上を走る感じ。
(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.03.15第一面より引用掲載させていただきました。
新幹線めくるめくゆく大地春 加藤哲也『最終列車』
たまたま武蔵小杉駅のホームに立ち、湘南新宿ラインの電車を待っている。その間に、少し高いところを東海道新幹線の下りが通過する。流石に速い。東海道新幹線は時速270㌔。この先には、富士を右に、静岡や愛知の明るい春の大地が控えている。そこへ突っ込んでゆく。
因(ちな)みに、湘南新宿ラインも71.4㌔と東京横浜間は速い。山国に住んでいると、電車が川崎辺りの平地を滑るように走ることさえ感心する。
揺れないのである。これは硬い鉄板の上を走る感じ。
(宮坂静生)
2024年03月14日
米を研ぐ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.14第一面より引用掲載させていただきました。
研ぎ汁にもろ手ひたしてじっとする母の記憶にしばし浸れり 吉村実紀恵『バベル』
淅(か)す、という言葉がある。お米を水に浸し研ぐ、という意味である。
釜に米を入れ、水を淅す。白濁した研ぎ汁が浮かぶ。その研ぎ汁に手を浸してみる。手首に冷たい水が当たる。が、てのひらの下にはあたたかい米の感触がある。あのときの微かな幸福感。それを思い出させる歌。
最近は研がなくてもいい米も多くなった。作者の母が感じたような幸福感もいつか過去のものになるのかもしれない。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.03.14第一面より引用掲載させていただきました。
研ぎ汁にもろ手ひたしてじっとする母の記憶にしばし浸れり 吉村実紀恵『バベル』
淅(か)す、という言葉がある。お米を水に浸し研ぐ、という意味である。
釜に米を入れ、水を淅す。白濁した研ぎ汁が浮かぶ。その研ぎ汁に手を浸してみる。手首に冷たい水が当たる。が、てのひらの下にはあたたかい米の感触がある。あのときの微かな幸福感。それを思い出させる歌。
最近は研がなくてもいい米も多くなった。作者の母が感じたような幸福感もいつか過去のものになるのかもしれない。(大辻隆弘)
2024年03月13日
3月13日の記事
地域密着型移動手段確保事業「ちょこっとサービス」4月から正式に運行開始します。島学区まちづくり協議会では、高齢者対策として既存の公共交通機関や市民バスの利用困難者に対し、外出機会の確保と地域コミュニティの形成を図るために、自宅から目的地までの送迎サービス「ちょこっとサービス」を実施します。
利用希望者は事前登録が必要ですので、島コミセンまで連絡くださいね。
利用希望者は事前登録が必要ですので、島コミセンまで連絡くださいね。
Posted by ゴンザレスこと大西實 at
14:20
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