2023年08月04日
風鈴
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.08.04第一面より引用掲載させていただきました。
風鈴に前世(さきせ)の風吹き来たる 蟇目良雨『ここから」

句集名は「ここからが看取りここからわが夜長」からという。
体が弱かった作者を助け、好きなようにさせてくれた奥方への感謝の気持ちが込められた看護であった。
掲句はいまだ伴侶、ご健在の頃の作であるが、作者には深い仏心がおありなのだろう。
「前世」を「さきせ」と読む浄瑠璃語りの文句がゆかしい。
風鈴を鳴らす風はひやりと、生前からの風、この世を吹き、あの世へ吹き抜ける。風がいのちを前世から来世へ運ぶ。敬虔だ。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.08.04第一面より引用掲載させていただきました。
風鈴に前世(さきせ)の風吹き来たる 蟇目良雨『ここから」

句集名は「ここからが看取りここからわが夜長」からという。
体が弱かった作者を助け、好きなようにさせてくれた奥方への感謝の気持ちが込められた看護であった。
掲句はいまだ伴侶、ご健在の頃の作であるが、作者には深い仏心がおありなのだろう。
「前世」を「さきせ」と読む浄瑠璃語りの文句がゆかしい。
風鈴を鳴らす風はひやりと、生前からの風、この世を吹き、あの世へ吹き抜ける。風がいのちを前世から来世へ運ぶ。敬虔だ。(宮坂静生)
2023年08月03日
一玉のスイカ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.08.03第一面より引用掲載させていただきました。
ひと玉の西瓜抱へてバスに乗り窓に夕やけの空を見てゐし 丸山順司『鬼との宴』

スーパーの売り場では、はじめから四つ切りになった西瓜が売られている。昔は違った。八百屋さんでひと玉、まるごとの西瓜を買った。重かった。
それを胸に抱いてバスの席に座る。窓に広がる夕焼けがきれいだ。返ったら井戸水で西瓜を冷やそう。夕食が終わったら花火をしよう。縁側に座って、家族みんなで、ほどよく冷えた西瓜をほおばろう。
そんな思いに胸をおどらせたあの夏の宵。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2023.08.03第一面より引用掲載させていただきました。
ひと玉の西瓜抱へてバスに乗り窓に夕やけの空を見てゐし 丸山順司『鬼との宴』

スーパーの売り場では、はじめから四つ切りになった西瓜が売られている。昔は違った。八百屋さんでひと玉、まるごとの西瓜を買った。重かった。
それを胸に抱いてバスの席に座る。窓に広がる夕焼けがきれいだ。返ったら井戸水で西瓜を冷やそう。夕食が終わったら花火をしよう。縁側に座って、家族みんなで、ほどよく冷えた西瓜をほおばろう。
そんな思いに胸をおどらせたあの夏の宵。(大辻隆弘)
2023年08月02日
八月の炉
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.08.02第一面より引用掲載させていただきました。
八月の炉あり祭のもの煮ゆる 木村蕪城『一位』

諏訪に住まわれ諏訪の地を愛した中学の先生。俳句は高浜虚子、山口青邨門下。慎ましい暮らしがやさしく俳句に表現され、しみじみと心に響く。夏でもいまだ囲炉裏があった頃か、祭のご馳走が自在鈎(かぎ)に掛けられた鍋でぐつぐつ煮えている。
鮒か鯉か湖の淡水魚が祭魚であろう。骨を柔らかにするまで煮る。春祭には、「諏訪蜆磨ぐを祭の宵とする」がある。
晴れの日とはいえ、祭魚があれば、十分。祭は騒ぎではない。地の神さまへの感謝の日。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.08.02第一面より引用掲載させていただきました。
八月の炉あり祭のもの煮ゆる 木村蕪城『一位』

諏訪に住まわれ諏訪の地を愛した中学の先生。俳句は高浜虚子、山口青邨門下。慎ましい暮らしがやさしく俳句に表現され、しみじみと心に響く。夏でもいまだ囲炉裏があった頃か、祭のご馳走が自在鈎(かぎ)に掛けられた鍋でぐつぐつ煮えている。
鮒か鯉か湖の淡水魚が祭魚であろう。骨を柔らかにするまで煮る。春祭には、「諏訪蜆磨ぐを祭の宵とする」がある。
晴れの日とはいえ、祭魚があれば、十分。祭は騒ぎではない。地の神さまへの感謝の日。(宮坂静生)
2023年08月01日
暑中お見舞い申し上げます。
「暑中お見舞い申し上げます」
早くも8月に入りました。暦の上では「残暑お見舞い申し上げます」ですが。
島学区見守り支えあい推進委員会「どないしてはる」のみなさんで作成した暑中見舞いの「絵手紙」が、学区内の高齢者を中心に訪問活動と共に届けられました。




早くも8月に入りました。暦の上では「残暑お見舞い申し上げます」ですが。
島学区見守り支えあい推進委員会「どないしてはる」のみなさんで作成した暑中見舞いの「絵手紙」が、学区内の高齢者を中心に訪問活動と共に届けられました。




2023年08月01日
茅の輪くぐり
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.07.31第一面より引用掲載させていただきました。
漁(すなど)られゆくかに茅の輪くぐりけり 齋藤愼爾『永遠と一日』

水無月祓(みなづきはらえ)を一月遅れ、7月晦日に行う地域がある。夏の穢れや罪を祓う神事である。掲句は砂地の貝になった気分。攫(さら)われていく気分で茅の輪を潜ったというのである。憔悴(しょうすい)感がある。それだけではなく、どこかに死を暗示したような寂しさがある。
ひばりや周五郎や寂聴の大部な伝記を書く。鋭い評論家で俳人、出版社深夜叢書社を興し、寺山修司など前衛作家と交流も重ねた。ゴシップ好きのマルチ人間。ところが、消えるように、本年3月28日逝去した。83歳。痛ましい。哀悼。(宮坂静生)
※日本農業新聞2023.07.31第一面より引用掲載させていただきました。
漁(すなど)られゆくかに茅の輪くぐりけり 齋藤愼爾『永遠と一日』

水無月祓(みなづきはらえ)を一月遅れ、7月晦日に行う地域がある。夏の穢れや罪を祓う神事である。掲句は砂地の貝になった気分。攫(さら)われていく気分で茅の輪を潜ったというのである。憔悴(しょうすい)感がある。それだけではなく、どこかに死を暗示したような寂しさがある。
ひばりや周五郎や寂聴の大部な伝記を書く。鋭い評論家で俳人、出版社深夜叢書社を興し、寺山修司など前衛作家と交流も重ねた。ゴシップ好きのマルチ人間。ところが、消えるように、本年3月28日逝去した。83歳。痛ましい。哀悼。(宮坂静生)