2022年10月20日
草の香り
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.20第一面より引用掲載させていただきました。
うれしさの木の香草の香木の実の香 黒田杏子『月光月光』

よほどうれしかったのであろう。作者は弾みで作る句が多い。リズムを重視する。「木の香」「草の香」と弾み「木の実の香」と季語で緊(し)める。
掲句は秋を味覚で捉えようと茶目っ気が感じられる。古く、歌題「草の香(かう)」はミカン科の多年草ヘンルーダ草の類の香草を指す由。広く秋草の香をいう。「草の香」は近年の季語。高名な「よろこべばしきりに落つる木の実かな」(富安風生)の「よろこぶ」からは無邪気な優しさを。掲句の「うれしさ」には率直な新鮮さに知的な閃(ひらめ)きがある。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.10.20第一面より引用掲載させていただきました。
うれしさの木の香草の香木の実の香 黒田杏子『月光月光』

よほどうれしかったのであろう。作者は弾みで作る句が多い。リズムを重視する。「木の香」「草の香」と弾み「木の実の香」と季語で緊(し)める。
掲句は秋を味覚で捉えようと茶目っ気が感じられる。古く、歌題「草の香(かう)」はミカン科の多年草ヘンルーダ草の類の香草を指す由。広く秋草の香をいう。「草の香」は近年の季語。高名な「よろこべばしきりに落つる木の実かな」(富安風生)の「よろこぶ」からは無邪気な優しさを。掲句の「うれしさ」には率直な新鮮さに知的な閃(ひらめ)きがある。(宮坂静生)
2022年10月19日
権座サツマイモ掘り
西の湖「権座」で、こどもたちの歓声が響きました
島小2年生校外授業「サツマイモ掘り体験」
10月18日、島小学校2年生20名は、6月に植えたさつまいも(紅吾妻)の収穫に、船に乗って「権座」に上陸しました。
自分たちが植えたさつまいもの収穫とあって、次から次へと顔を見せる「サツマイモ」の大きさに、歓声が鳴り響いていました。※取材提供:ゴンザレスこと大西實





島小2年生校外授業「サツマイモ掘り体験」
10月18日、島小学校2年生20名は、6月に植えたさつまいも(紅吾妻)の収穫に、船に乗って「権座」に上陸しました。
自分たちが植えたさつまいもの収穫とあって、次から次へと顔を見せる「サツマイモ」の大きさに、歓声が鳴り響いていました。※取材提供:ゴンザレスこと大西實





2022年10月19日
紅茶を飲む
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.19第一面より引用掲載させていただきました。
カップから紐垂れをりき父母と秋の夜飲みし紅茶の香り 栗木京子『新しき過去』

私自身が庶民のせいか、紅茶というとちょっとおしゃれな感じがする。インスタントコーヒーよりちょっとおしゃれ。
秋の夜長、両親とともにティーバックの紅茶を飲む。個別包装の紙袋から、紐を外し、指でつまんでカップに下ろしてゆく。香りが部屋に広がってゆく。ちょっと懐かしい、贅沢な家族のひとときである。
作者の父と母はもうこの世にはいない。遠くなった昭和の秋の夜の記憶。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.10.19第一面より引用掲載させていただきました。
カップから紐垂れをりき父母と秋の夜飲みし紅茶の香り 栗木京子『新しき過去』

私自身が庶民のせいか、紅茶というとちょっとおしゃれな感じがする。インスタントコーヒーよりちょっとおしゃれ。
秋の夜長、両親とともにティーバックの紅茶を飲む。個別包装の紙袋から、紐を外し、指でつまんでカップに下ろしてゆく。香りが部屋に広がってゆく。ちょっと懐かしい、贅沢な家族のひとときである。
作者の父と母はもうこの世にはいない。遠くなった昭和の秋の夜の記憶。(大辻隆弘)
2022年10月17日
窓越しの「紅葉」
おはよう!今日の名句と名歌
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
仰向きに泳ぎつつ見る高窓の向こうにわかき紅葉(もみじ)の梢 小林峯夫『途上』

紅葉の枝先がほんの少し色づく季節になった。この色が深くなるころ晩秋がやってくる。
作者はこの時、八十代。が、毎週スポーツジムに通い、泳ぎことを欠かさない。今日もゆっくり背泳ぎをする。ガラス張りのプールの天窓に色づきはじめた紅葉が見える。季節は確実に移り変わるけれど、日々のいとなみはかくも静かに保たれてゆく。『途上』は昨年逝去した作者の遺歌集。堂々と続けられた歌業の集積である。(大辻隆弘)
※日本農業新聞第一面より引用掲載させていただきました。
仰向きに泳ぎつつ見る高窓の向こうにわかき紅葉(もみじ)の梢 小林峯夫『途上』

紅葉の枝先がほんの少し色づく季節になった。この色が深くなるころ晩秋がやってくる。
作者はこの時、八十代。が、毎週スポーツジムに通い、泳ぎことを欠かさない。今日もゆっくり背泳ぎをする。ガラス張りのプールの天窓に色づきはじめた紅葉が見える。季節は確実に移り変わるけれど、日々のいとなみはかくも静かに保たれてゆく。『途上』は昨年逝去した作者の遺歌集。堂々と続けられた歌業の集積である。(大辻隆弘)
2022年10月13日
猿の親子
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.13第一面より引用掲載させていただきました。
猿を聞人(きくひと)捨子(すてご)に秋の風いかに 芭蕉『甲子吟行』(かつしぎんこう)

詰屈(きっくつ)な唐突な感じに芭蕉の驚きがある。「断腸の思(おもう)の故事を踏まえる。子を亡くした母猿の腸(はらわた)が千切れるほどの哀しみをいう。
貞享元年、芭蕉は41歳。前年に逝去した母の墓参のために故郷へ帰る。途中、激流富士川のほとりで「三つ計(はかり)なる捨子の、哀気(あわれげ)に泣有(なくあり)」を見る。4年続きの天和年間の凶作で米価が高騰し、庶民は困窮極まる。
「袂(たもと)より喰物(くいもの)投げてとほるに」くらいしかできない哀しさ。「猿を聞」とは猿声に涙する詩人の擬(まがい)のわが身を省みた自嘲であろう。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.10.13第一面より引用掲載させていただきました。
猿を聞人(きくひと)捨子(すてご)に秋の風いかに 芭蕉『甲子吟行』(かつしぎんこう)

詰屈(きっくつ)な唐突な感じに芭蕉の驚きがある。「断腸の思(おもう)の故事を踏まえる。子を亡くした母猿の腸(はらわた)が千切れるほどの哀しみをいう。
貞享元年、芭蕉は41歳。前年に逝去した母の墓参のために故郷へ帰る。途中、激流富士川のほとりで「三つ計(はかり)なる捨子の、哀気(あわれげ)に泣有(なくあり)」を見る。4年続きの天和年間の凶作で米価が高騰し、庶民は困窮極まる。
「袂(たもと)より喰物(くいもの)投げてとほるに」くらいしかできない哀しさ。「猿を聞」とは猿声に涙する詩人の擬(まがい)のわが身を省みた自嘲であろう。(宮坂静生)
2022年10月13日
むべ(ムベ)献上
不老長寿の実「皇室に献上の『むべ』今年は良好」
近江八幡市北津田町の大嶋・奥津嶋神社が今年も、不老長寿の果実と伝わる「むべ」を皇室に献上する。市役所で11日氏子総代らが特性の竹かごに収め、宮内庁に向けて発送した。
今年就任した深井克宣宮司、氏子総代の福井久雄さん、同井上喜昭さんはいずれも初の大役で、立会人の小西理市長が手順を説明し、手際よく竹かごに入れた。

近江八幡市北津田町の大嶋・奥津嶋神社が今年も、不老長寿の果実と伝わる「むべ」を皇室に献上する。市役所で11日氏子総代らが特性の竹かごに収め、宮内庁に向けて発送した。
今年就任した深井克宣宮司、氏子総代の福井久雄さん、同井上喜昭さんはいずれも初の大役で、立会人の小西理市長が手順を説明し、手際よく竹かごに入れた。

2022年10月13日
柿の葉
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.12第一面より引用掲載させていただきました。
柿の葉の色づくころはみんなだれかの記憶になって消えてゆく 加藤治郎『海辺のローラーコースター』

色づいた柿の葉は実に美しい。濃い緑、鮮やかな黄色、渋い茶色、ほのかな朱色、様々な色がパッチワークのように複雑に入り組んで風に揺れる。秋深みかも、と思う瞬間である。柿の葉はやがて散り始めるだろう。地面で朽ちてゆくのだろう。人もいつかは誰かの記憶になる。それはいつか消え去ってゆく。当たり前のことだけど、そんな実感が胸に迫る。
今日は時雨忌。俳聖・松尾芭蕉の忌日。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.10.12第一面より引用掲載させていただきました。
柿の葉の色づくころはみんなだれかの記憶になって消えてゆく 加藤治郎『海辺のローラーコースター』

色づいた柿の葉は実に美しい。濃い緑、鮮やかな黄色、渋い茶色、ほのかな朱色、様々な色がパッチワークのように複雑に入り組んで風に揺れる。秋深みかも、と思う瞬間である。柿の葉はやがて散り始めるだろう。地面で朽ちてゆくのだろう。人もいつかは誰かの記憶になる。それはいつか消え去ってゆく。当たり前のことだけど、そんな実感が胸に迫る。
今日は時雨忌。俳聖・松尾芭蕉の忌日。(大辻隆弘)
2022年10月12日
ていねいに
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.10第一面より引用掲載させていただきました。
稲滓火(いなしび)を崩せば新しき焔(ほのお) 土方公二『帰燕抄』

稲刈りが済んだ後の田仕舞いの焚火である。大方焼き尽くしたかと火を掻いたところまた新たな焔が束の間立ち上がったという。いのちの名残を感じるところが「綿虫とゐる残照の消ゆるまで」の秀吟とも通う。
兵庫県宍粟市の農村育ちの作者が海外での企業戦士の多忙な日々から解放され、気付いた田舎暮らしの安らぎであろうか。自然の大地から授かったものを大地へ帰す。掲句には敬虔(けいけん)さがある。北海道や長野県などでの日常語「まていに」(丁寧に)というやさしさだ。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.10.10第一面より引用掲載させていただきました。
稲滓火(いなしび)を崩せば新しき焔(ほのお) 土方公二『帰燕抄』

稲刈りが済んだ後の田仕舞いの焚火である。大方焼き尽くしたかと火を掻いたところまた新たな焔が束の間立ち上がったという。いのちの名残を感じるところが「綿虫とゐる残照の消ゆるまで」の秀吟とも通う。
兵庫県宍粟市の農村育ちの作者が海外での企業戦士の多忙な日々から解放され、気付いた田舎暮らしの安らぎであろうか。自然の大地から授かったものを大地へ帰す。掲句には敬虔(けいけん)さがある。北海道や長野県などでの日常語「まていに」(丁寧に)というやさしさだ。(宮坂静生)
2022年10月08日
昭和は遠くなりにけり
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.10.08第一面より引用掲載させていただきました。
わが乗れる電車に手を振るこどもありわれ振りかへす
昭和のごとく 小池光『サーベルと燕』

昭和の頃、電車に乗って外を見ていると、電車に手を振るこどもが必ずいた。
踏切の風にあおられながら、畦道に立った母親におんぶされながら、子どもたちは電車が見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。こちらが手を振ると、その手はよりいっそう強く左右に揺れた。
あれから半世紀、もう昭和は遠く過ぎ去ったのに作者はそれと同じ光景を見る。ちょっと涙ぐましい気持ちになる。
(大辻隆弘)
※日本農業新聞2022.10.08第一面より引用掲載させていただきました。
わが乗れる電車に手を振るこどもありわれ振りかへす
昭和のごとく 小池光『サーベルと燕』

昭和の頃、電車に乗って外を見ていると、電車に手を振るこどもが必ずいた。
踏切の風にあおられながら、畦道に立った母親におんぶされながら、子どもたちは電車が見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。こちらが手を振ると、その手はよりいっそう強く左右に揺れた。
あれから半世紀、もう昭和は遠く過ぎ去ったのに作者はそれと同じ光景を見る。ちょっと涙ぐましい気持ちになる。
(大辻隆弘)
2022年10月07日
奄美大島の島唄
おはよう!今日の名句と名歌
※日本農業新聞2022.10.07第一面より引用掲載させていただきました。
島唄の陽気にかなし青蜜柑(みかん) 阪本ふく子『手毬の子』

10年前に奄美大島で聞いた島唄が鮮烈に蘇る。今日、島の中学を卒(お)えたという女の子が祖母の三線(さんしん)の伴奏で歌ってくれた「てんさぐの花」。爪紅(つまべに)ともいう鳳仙花(ほうせんか)の花弁の汁で赤く染めた爪を見つめて親の苦労を思い続けると謡う。その三番の歌詞がことに身に染みた。「夜走(ゆるは)らす船や/子(に)ぬ方星見当(ふあぶしみあ)てい/我(わ)ぬどう見当てい」(夜の海を渡る船は/北極星を目当てに/私を生んでくれた親は/私の目当て=お手本=だ)。陽気でかなしい。しかし青蜜柑が救い。(宮坂静生)
※日本農業新聞2022.10.07第一面より引用掲載させていただきました。
島唄の陽気にかなし青蜜柑(みかん) 阪本ふく子『手毬の子』

10年前に奄美大島で聞いた島唄が鮮烈に蘇る。今日、島の中学を卒(お)えたという女の子が祖母の三線(さんしん)の伴奏で歌ってくれた「てんさぐの花」。爪紅(つまべに)ともいう鳳仙花(ほうせんか)の花弁の汁で赤く染めた爪を見つめて親の苦労を思い続けると謡う。その三番の歌詞がことに身に染みた。「夜走(ゆるは)らす船や/子(に)ぬ方星見当(ふあぶしみあ)てい/我(わ)ぬどう見当てい」(夜の海を渡る船は/北極星を目当てに/私を生んでくれた親は/私の目当て=お手本=だ)。陽気でかなしい。しかし青蜜柑が救い。(宮坂静生)