2024年03月14日
米を研ぐ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.03.14第一面より引用掲載させていただきました。
研ぎ汁にもろ手ひたしてじっとする母の記憶にしばし浸れり 吉村実紀恵『バベル』
淅(か)す、という言葉がある。お米を水に浸し研ぐ、という意味である。
釜に米を入れ、水を淅す。白濁した研ぎ汁が浮かぶ。その研ぎ汁に手を浸してみる。手首に冷たい水が当たる。が、てのひらの下にはあたたかい米の感触がある。あのときの微かな幸福感。それを思い出させる歌。
最近は研がなくてもいい米も多くなった。作者の母が感じたような幸福感もいつか過去のものになるのかもしれない。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.03.14第一面より引用掲載させていただきました。
研ぎ汁にもろ手ひたしてじっとする母の記憶にしばし浸れり 吉村実紀恵『バベル』
淅(か)す、という言葉がある。お米を水に浸し研ぐ、という意味である。
釜に米を入れ、水を淅す。白濁した研ぎ汁が浮かぶ。その研ぎ汁に手を浸してみる。手首に冷たい水が当たる。が、てのひらの下にはあたたかい米の感触がある。あのときの微かな幸福感。それを思い出させる歌。
最近は研がなくてもいい米も多くなった。作者の母が感じたような幸福感もいつか過去のものになるのかもしれない。(大辻隆弘)