2024年11月20日
ベンチに座る
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.20第一面より引用掲載させていただきました。
秋の椅子にふたり並びて見ておりぬ動くことなき雲のガゼルを 廣岡優『アンデルセンの灯』
庭のベンチに腰をかけながら、二人で空を見上げる。秋の雲がそこに浮かんでいる。その形はまるでガゼルのようだ。ツンと一対の角を立てて、サバンナに立つ草食獣の涼やかな姿を、二人は秋空の青のなかに見出したのだ。
この歌集は、作者の夫によって編まれた遺歌集。となりに座っていた妻はもういない。が、二人で雲を見上げた瞬間は、歌のなかに永遠に刻まれている。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.20第一面より引用掲載させていただきました。
秋の椅子にふたり並びて見ておりぬ動くことなき雲のガゼルを 廣岡優『アンデルセンの灯』
庭のベンチに腰をかけながら、二人で空を見上げる。秋の雲がそこに浮かんでいる。その形はまるでガゼルのようだ。ツンと一対の角を立てて、サバンナに立つ草食獣の涼やかな姿を、二人は秋空の青のなかに見出したのだ。
この歌集は、作者の夫によって編まれた遺歌集。となりに座っていた妻はもういない。が、二人で雲を見上げた瞬間は、歌のなかに永遠に刻まれている。(大辻隆弘)
2024年11月19日
ムラサキシキブ
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.18第一面より引用掲載させていただきました。
道端にムラサキシキブの実の黒し夕暮れの風頬を過ぎゆく 北神照美『水の旗』
ムラサキシキブの実の紫色は美しい。陽の差すところで見ると、やや明るい紫だ。源氏物語の作者の名前を付すにふさわしい、典雅な雰囲気がある。
が、作者はその実の色を黒いと感じた。それは夕暮れの闇が迫ってきているからだろう。視線を落とし、その黒を見る。うつむいた作者の頬を、秋の終わりを知らせる、冷たい風が撫でてゆく。そんな夕暮れの景。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.18第一面より引用掲載させていただきました。
道端にムラサキシキブの実の黒し夕暮れの風頬を過ぎゆく 北神照美『水の旗』
ムラサキシキブの実の紫色は美しい。陽の差すところで見ると、やや明るい紫だ。源氏物語の作者の名前を付すにふさわしい、典雅な雰囲気がある。
が、作者はその実の色を黒いと感じた。それは夕暮れの闇が迫ってきているからだろう。視線を落とし、その黒を見る。うつむいた作者の頬を、秋の終わりを知らせる、冷たい風が撫でてゆく。そんな夕暮れの景。(大辻隆弘)
2024年11月17日
ふれあいサロン円山町
今日(13日)は、ふれあいサロンの回想法の実施研修として、地元円山町に寄せて頂きました。10時半からですが、既にいきいき一〇〇歳体操が行われていました。
皆さん元気なお年寄りです(高齢者って言わないといけませんね)30分の体操をなんなく熟して、さあ「回想法」です。と、マイク持ったとたん、「みのるちゃん、それなんやねん」と知り合いのおばちゃんから声がかかり、めっちゃ楽しい雰囲気で始まりました。「今日、この体験をしたら、10年若くなること間違いなしですよ~」と。みんな目をぱちくりされました。昔の民具、子どもの頃の遊びの話、食べ物・・・そして方言!もう話が終わりません。「もう、いぬのか?」「うん、なんさしてもらうわ」「いなしてもらいまっさ」※意味分かりましたか?
時間オーバー、11時45分終了が、12時を回りました。
皆さん元気なお年寄りです(高齢者って言わないといけませんね)30分の体操をなんなく熟して、さあ「回想法」です。と、マイク持ったとたん、「みのるちゃん、それなんやねん」と知り合いのおばちゃんから声がかかり、めっちゃ楽しい雰囲気で始まりました。「今日、この体験をしたら、10年若くなること間違いなしですよ~」と。みんな目をぱちくりされました。昔の民具、子どもの頃の遊びの話、食べ物・・・そして方言!もう話が終わりません。「もう、いぬのか?」「うん、なんさしてもらうわ」「いなしてもらいまっさ」※意味分かりましたか?
時間オーバー、11時45分終了が、12時を回りました。
2024年11月17日
吐く息
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.16第一面より引用掲載させていただきました。
混ざりあふ食魔の息の白き巷(ちまた) 高山れおな『冬の旅、夏の旅』
飽食の現代の世相を戯画化した。鋭い句である。
気温が下がり、寒くなると吐く息が白く見える。雑踏は白息が交わる坩堝(るつぼ)。例えば冬の銀座の夕方。
贅を尽くした美食から美食へ渡り歩いた金満家のふんだんに吐く息によってかつての紅灯の巷はいまや真白き巷に変貌する。
食魔とは強烈なことばだ。同じ地球上に、食にありつけないで、餓死する民がいる現実を思うと、白き巷は悲しき御伽噺(おとぎばなし)の世界のようだ。いっそう寒さがつのる。(宮崎静生)
※日本農業新聞2024.11.16第一面より引用掲載させていただきました。
混ざりあふ食魔の息の白き巷(ちまた) 高山れおな『冬の旅、夏の旅』
飽食の現代の世相を戯画化した。鋭い句である。
気温が下がり、寒くなると吐く息が白く見える。雑踏は白息が交わる坩堝(るつぼ)。例えば冬の銀座の夕方。
贅を尽くした美食から美食へ渡り歩いた金満家のふんだんに吐く息によってかつての紅灯の巷はいまや真白き巷に変貌する。
食魔とは強烈なことばだ。同じ地球上に、食にありつけないで、餓死する民がいる現実を思うと、白き巷は悲しき御伽噺(おとぎばなし)の世界のようだ。いっそう寒さがつのる。(宮崎静生)
2024年11月15日
枇杷の実
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.15第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷の花ほの白く咲くと見てあれば目白が寄り来てしばらく遊ぶ 小見山輝『花祭』
枇杷の花は地味である。晩秋から冬の初め、白い小さな房状の花が開く。が、その花は茶色の苞(ほう)にくるまれて目立たない。
ひっそりと、冬の訪れを待っているような花である。
十一月中ごろ、穏やかな日和が続く。その日差しを浴びて、メジロが枇杷の花に寄ってくる。そんな静かな晩秋の景。
歌集『花祭』は、小見山輝の遺歌集である。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.15第一面より引用掲載させていただきました。
枇杷の花ほの白く咲くと見てあれば目白が寄り来てしばらく遊ぶ 小見山輝『花祭』
枇杷の花は地味である。晩秋から冬の初め、白い小さな房状の花が開く。が、その花は茶色の苞(ほう)にくるまれて目立たない。
ひっそりと、冬の訪れを待っているような花である。
十一月中ごろ、穏やかな日和が続く。その日差しを浴びて、メジロが枇杷の花に寄ってくる。そんな静かな晩秋の景。
歌集『花祭』は、小見山輝の遺歌集である。(大辻隆弘)
2024年11月14日
神無備
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.13第一面より引用掲載させていただきました。
神無備(かんなび)の枸杞(くこ)の実なれば就中(なかんずく) 村上喜代子『軌道』
やまとは国のまほろば。うた詠みの憧れの三輪山がある。龍田川も飛鳥の森もある。神さまが天降った「神無備」(神奈備と同じ)である。大和の地を歩き句作を楽しんだものか。
そこで赤く熟んだ枸杞の実に目を留めた。至る所にあるが、万葉集の「甘南備の三諸(みもろ)の山は」ではないが、かんなびの神さまも口にした枸杞の実と思うと、最高。るんるん気分。
一句の夢見るような朗々たるリズムに、たかが枸杞の実も昂揚(こうよう)し格別な木の実のイメージに納まった。
「就中」の抑えが巧み。(宮坂静生)
※日本農業新聞2024.11.13第一面より引用掲載させていただきました。
神無備(かんなび)の枸杞(くこ)の実なれば就中(なかんずく) 村上喜代子『軌道』
やまとは国のまほろば。うた詠みの憧れの三輪山がある。龍田川も飛鳥の森もある。神さまが天降った「神無備」(神奈備と同じ)である。大和の地を歩き句作を楽しんだものか。
そこで赤く熟んだ枸杞の実に目を留めた。至る所にあるが、万葉集の「甘南備の三諸(みもろ)の山は」ではないが、かんなびの神さまも口にした枸杞の実と思うと、最高。るんるん気分。
一句の夢見るような朗々たるリズムに、たかが枸杞の実も昂揚(こうよう)し格別な木の実のイメージに納まった。
「就中」の抑えが巧み。(宮坂静生)
2024年11月13日
豚バラ大根
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.13第一面より引用掲載させていただきました。
得意なる豚バラ大根いそいそと夫は煮をいり圧力鍋に 大西和子『アマリリス』
温かい食べ物が恋しい季節になった。今日の夕食のおかずは、豚バラ大根。大根と豚のバラ肉を甘辛く煮る。秋の夕べにふさわしい一品だ。
今夜のシェフは夫。自信満々の様子で、棚から重い圧力鍋を引き下ろし、大根を切って、バラ肉をほぐし、調味料を入れて煮込む。その姿は、少年が理科の実験をさいているかのようだ。
お手並み拝見。その手順を見つめる妻。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.13第一面より引用掲載させていただきました。
得意なる豚バラ大根いそいそと夫は煮をいり圧力鍋に 大西和子『アマリリス』
温かい食べ物が恋しい季節になった。今日の夕食のおかずは、豚バラ大根。大根と豚のバラ肉を甘辛く煮る。秋の夕べにふさわしい一品だ。
今夜のシェフは夫。自信満々の様子で、棚から重い圧力鍋を引き下ろし、大根を切って、バラ肉をほぐし、調味料を入れて煮込む。その姿は、少年が理科の実験をさいているかのようだ。
お手並み拝見。その手順を見つめる妻。(大辻隆弘)
2024年11月09日
深い秋空
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.09第一面より引用掲載させていただきました。
空に近い暮らしであるよ秋の陽に稲束干して小豆を干して 藤澤幸男『はる』
子どもの頃、晩秋の空は、今よりも、もっと高くて、もっと深かったような気がする。
藁束(わらたば)を干すために、藁束を抱き、身を反らし、高いところにあるハサの横棒に架ける。その時、目には秋空の深い青が見えた。小豆の束を抱いて、干し場に架ける。その時見た空も青かった。
作者は、今も農業に従事している。深い秋空を、「近い」と感じられる生活がまぶしい。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.09第一面より引用掲載させていただきました。
空に近い暮らしであるよ秋の陽に稲束干して小豆を干して 藤澤幸男『はる』
子どもの頃、晩秋の空は、今よりも、もっと高くて、もっと深かったような気がする。
藁束(わらたば)を干すために、藁束を抱き、身を反らし、高いところにあるハサの横棒に架ける。その時、目には秋空の深い青が見えた。小豆の束を抱いて、干し場に架ける。その時見た空も青かった。
作者は、今も農業に従事している。深い秋空を、「近い」と感じられる生活がまぶしい。(大辻隆弘)
2024年11月07日
「便利」ばかりを求める国
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.07第一面より引用掲載させていただきました。
いらいらと便利ばかりをつくる国夕空なんて誰も見ていない 須田覚『デカンの風がやむとき』
作者は、長年インドに滞在した商社マン。この歌は、久しぶりに日本に帰朝したときの印象を歌った歌。
広大な国土を持つインドの人はおおらかだ。悠久の時がゆっくり流れているような感じがする。
それに比べて、久しぶりに帰ってきた日本の慌ただしさ。「便利」を求め、みんなイライラしている。空には、美しい夕雲が色づいているというのに、だれも眼を上げようとはしない。(大辻隆弘)
※日本農業新聞2024.11.07第一面より引用掲載させていただきました。
いらいらと便利ばかりをつくる国夕空なんて誰も見ていない 須田覚『デカンの風がやむとき』
作者は、長年インドに滞在した商社マン。この歌は、久しぶりに日本に帰朝したときの印象を歌った歌。
広大な国土を持つインドの人はおおらかだ。悠久の時がゆっくり流れているような感じがする。
それに比べて、久しぶりに帰ってきた日本の慌ただしさ。「便利」を求め、みんなイライラしている。空には、美しい夕雲が色づいているというのに、だれも眼を上げようとはしない。(大辻隆弘)
2024年11月06日
島の秋まつり(第3弾)
~食と文化の祭典~
「味覚の秋、文化の秋、島の秋を感じよう!」
島の秋まつり開催
11月3日(日曜日)島の秋まつり(旧文化祭)が、晴天の秋晴れの下、開催されました。
コミセン二階展示コーナー
みたらし長命寺おなご会
白王町自治会「揚げたこ焼き」
キッチンカー
ワークショップ
育成会「ゲームコーナ」
太田商店
民生委員カフェ紅芭
「味覚の秋、文化の秋、島の秋を感じよう!」
島の秋まつり開催
11月3日(日曜日)島の秋まつり(旧文化祭)が、晴天の秋晴れの下、開催されました。
コミセン二階展示コーナー
みたらし長命寺おなご会
白王町自治会「揚げたこ焼き」
キッチンカー
ワークショップ
育成会「ゲームコーナ」
太田商店
民生委員カフェ紅芭