相合い傘

ゴンザレスこと大西實

2025年06月12日 08:29

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2025.06.12第一面より引用掲載させてきただきました。
『後輩に傘を半分貸しながら昨日の会議のうらばなしを聞く』
紺屋四郎「空行くような」


 建物の玄関から出る。にわか雨。後輩は傘の持ち合わせがなくて困っている。入っていったら。そんな風に声をかけて作者は後輩を招き入れる。
 駅まで後輩と相合傘で歩く。ふたりの距離が急に近くなる。親密になった空気のなかで、作者は「ねえ、昨日の会議のことだけど・・・」と言葉を掛ける。議決に至るまでの過程をこっそり聞き出すために。
 対人関係のちょっとした緊張感を感じる歌。(大辻隆弘)


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