青麦と豊旗雲
おはよう！今日の名歌と名句
※日本農業新聞2025.05.24第一面より引用掲載させていただきました。
青麦の豊旗雲に刺さるほど 荒井寿一『麒麟』
麦秋に入る直前、空には旗のように靡（なび）く雲、一面の麦畑。青い麦が鋭い禾（のぎ）を立てている。
作者は昭和の浮世絵版画家川瀬巴水の収集家。病膏肓（こうこう）に入ると句集あとがきに記す。
掲句の構図は版画風。青麦の太い線がぐいと明るい豊かな雲に伸びる。これが結社の俳句作法「眼前直覚」という心をひらく躍動感に合致するのであろう。
天智天皇の名歌「わたつみの豊旗雲に入日さし今夜（こよい）の月夜さやけかりこそ」が背後にある。（宮坂静生）
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