かいつぶり

ゴンザレスこと大西實

2024年11月28日 08:37

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.11.28第一面より引用掲載させていただきました。
広々と空待たせおくかいつぶり  今瀬一博『合同句集塔NO11』

 かいつぶりは八丁潜りともいう。水の潜るのが得意だ。いち早く渡ってきて、湖の主役にある。潜ったなと待つこと一分近く、思いもかけない遠くに貌(かお)を出す。
 〈かいつむり何を見て来シ眼の光〉(高野ムツオ)ではないが、きょとんとしている。
 湖上の広い青空が待っている。時雨の時期だ。いつ崩れ出すか知れない不安を孕(はら)んで湖がやきもきしている。作者の故郷にある霞ヶ浦をふと思い浮かべた。山国の湖でないであろう。(宮坂静生)


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