蜘蛛の巣

ゴンザレスこと大西實

2024年04月10日 09:29

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.04.10第一面より引用掲載させていただきました。
暖かきひざしのなかに糸を張る蜘蛛のむこうに
   淡く空あり
   浜田順子『草の穂』

 暖かくなって虫たちもそれぞれの活動を始めている。クモもそう。軒に一生懸命、自分の巣を作っている。
 彼はまず二か所を結ぶ長い糸を張る。そしてそれを幾筋の糸で補強していく。透明な糸が春の光を受けてキラキラと輝いている。ふと見るとその向こうに花曇りの春の空。淡い青色が作者の目に飛び込んでくる。
 作者の娘は歌人であり小説家でもある早坂類。この歌集は娘の思いによって編まれた一冊。(大辻隆弘)


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