春の魚と鳥
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2025.02.25第一面より引用掲載させていただきました。
魚はこゑ鳥は言葉を欲りて春 山本薫『ときに鳥』
きゅと鳴く魚、けきょけきょと啼く鳥。魚は声を欲しがっている。鳥は言葉があればいいなと盛んに囀(さえず)る。春はすべてのものの本性が目覚めるときだ。
生きものへの気付きに、作者の大らかで積極的な生き方が感じられ明るい。声と言葉は人間の最高の表現ツール。道具というより、いのちそのものかもしれない。〈片栗は咲き出でし身をいぶかしむ〉という句もある。堅香子(かたかご)の花の身を捩(よじ)るような戦(そよ)ぎにいのちを感じているのもいい。(宮坂静生)
関連記事