氷魚
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2025.02.12第一面より引用掲載させていただきました。
氷に上(のぼ)る魚の眼の剣なす 篠遠良子『硝子の時間』
「魚氷に上る」という季語がある。二月半ばの時候に関し、中国伝来の民間の暦から江戸の歳時記『滑稽雑談』などに取り入れられた。初春の陽気に魚が泳ぎ出し、氷に躍り出るという。
掲句はその魚の目が剣のように鋭いと空想の季語に緊迫感を付加し現実味を出したもの。同一季語にこんな句もある。
〈魚は氷に上り人魚になりたき子〉アンデルセンの童話『人魚姫』やギリシャ神話などからの想像か。
作者は諏訪在住。(宮坂静生)
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