春の小川

ゴンザレスこと大西實

2025年02月04日 15:53

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2025.02.04第一面より引用掲載させていただきました。
春水と水草互(みくさかたみ)に梳(くしけず)り   
    正木ゆう子『玉響』(たまゆら)


 春の野川の岸辺が思い浮かぶ。   
 水草は、水中に生えている水草とも、岸辺にあり、絶えず春水に触れ、弄(もてあそ)ばれながら流されまいと留まっている草とも受け取られる。
 「互に」とあるから後者であろうか。そこに互い違いの代わりばんこの秩序が感じられる。
 春は雪解け水が一瞬一瞬に増える。流れる水も岸辺の草も相手により梳られる。水も整えられ、草も枯草が削がれる。地味な着眼であるが、春の訪れとは小さなドラマから始まる。心洗われる句だ。(宮坂静生)


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