朝霧の中飛び立つ白鳥

ゴンザレスこと大西實

2022年11月24日 08:53

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.11.24第一面より引用掲載させていただきました。
朝陽へと川霧の波を翔け上がる白鳥
おのれを矢印として
  
        東海林文子『しずくのこえ』


 朝、川辺には霧が立ち込める季節になった。水と空気の温度の差が大きければ大きいほど、霧は深く濃くなる。川面さえ見えないほどだ。
 その白い霧の中から一羽の白鳥が飛び立った。後ろに白い霧をひとすじ曳いて。その姿はまるで先の尖(とが)った矢印のようだ。白鳥は自らを矢印に変えて空に向かうのだ。
 シベリアから来た白鳥が川面に集う。北国・秋田の冬はそんな風景から始まる。(大辻隆弘)


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