独自の文化は残っているだろうか?
今日は「『男はつらいよ』の日」
旅の魅力は「解放感」
日常と違う空気を味わう。それが旅の魅力の一つかもしれない▼日常生活から離れることで、生活に関わるさまざまな煩わしさを一時的にでも忘れることができる。この“気楽さ”を感じる意識が「解放感」。「人間を肉体的にも精神的にもくつろがせてくれる」と、社会学者の前田勇さんが障害者福祉総合情報誌『ノーマライゼーション』で書いていた▼きょうは「『男はつらいよ』の日」。1969年に映画シリーズ第1作の公開にちなむ。旅先で出会ったマドンナに失恋する寅次郎の恋愛模様を、日本の各地の美しい風景とともに描いた。50ある作品のロケ地は、44都道府県に及ぶ。その折々の景色が魅力だったが、監督の山田洋次さんは「映したい風景がこの国から消えようとしている」と嘆いていた▼旅心を刺激されて、東京駅の東京ステーションギャラリーで開催中の「東北へのまなざし」展をのぞいた。戦前から戦中に東北地方を訪ねた、ドイツの有名な建築家ブルーノ・タウトや民芸運動を展開した柳宗悦らの遺品や作品群が迎える。当時は後進的と見られていたが、実は独特の「文化の揺籃(ようらん)」だった▼このまま、東北に向かう列車に飛び乗り込みたくなる。独自の文化は、まだ残っているだろうか。
※日本農業新聞2022.08.27第一面「四季」より引用掲載させていただきました。
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