大森海岸の夕焼け
おはよう！今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.06.10第一面より引用掲載させていただきました。
ああ吾は怒りてをりし大夕焼 大牧広『大森海岸』
東日本大震災後の福島原発事故を踏まえている。「原発の壊れて粛々梅雨に入る」が同時作。
思索的である。原発事故への怒りにしても、かっかとしない。それだけに怒りを外部ではなく、自分の内側へ自らの過失のように溜め込んでいる。
作者の終の棲家（すみか）となる大森海岸に佇む。海も陸も燃え上がるような夕焼けを見つめ、込み上げてくる怒りを反芻（はんすう）する。いま怒っているんだ。このことを忘れてはいけない。ここから始まるんだという姿勢。（宮坂静生）
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