田植え
おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.05.17第一面より引用掲載させていただきました。
植えられて溺れてしまいそうな早苗日毎ひごとに直立ちゆけり 星野秀子『天使の梯子』
田植えの季節だ。大切に育てた若い苗を水を張った田にひとつづつ挿してゆく。柔らかい苗は傷つきやすい。機械が主流となった今も、細心に、繊細に苗をあつかいながら田植えは進んでゆく。
植えられた苗は半ばまで水に沈む。水のなかに溺れてしまいそうだ。このか弱い苗が、初夏の風を受け、盛夏の陽射しにさらされて、秋にはたわわな穂を垂らしてくれる。作者の眼にはすでに黄金に稔った秋の田んぼの風景が見えている。
(大辻隆弘)
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