クローバーの野

ゴンザレスこと大西實

2022年04月27日 08:46

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.04.27第一面より引用掲載させていただきました。
戦時下の母らは心貧しからずクローバの野に唱いしという   木下のりみ『真鍮色のロミオ』

 私たちは過去を一つの色で捉まえがちだ。戦中なら黒。高度経済成長時代ならバラ色。そんな風に単純化して考えてしまう。
 が、実際はそうではない。高度経済成長時代にも黒い部分があり、戦時中にもバラ色の日々があった。その時代を生きた人にとっての「今」は、様々な色あいを持ってそこにあったはずだ。戦時中にも、クローバーの上に座り、歌を歌う少女がいた。作者は、母の言葉でその事実を知る。そして少し驚く。
                         (大辻隆弘)


関連記事