着ぶくれ

ゴンザレスこと大西實

2022年01月24日 09:57

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.01.22第一面より引用させていただきました。
着ぶくれで椅子を分けあう冬電車一人立てども吾は無理せず 風祭咲子『びつたれ』

 みんなが着ぶくれしているせいか、冬の電車は人の密度が高い。ちょっと息苦しい気分になる。そんななかでも、人々は譲り合いの気持ちを忘れない。座席がぎゅうぎゅうづめになると、自発的に椅子から立ち上がる。そんな心遣いを見せる人もいる。
 今年八十歳になる作者にも席を譲りたい気持ちはある。けれど、無理はしない。申し訳ないような気持ちを抱きながら、まわりの気遣いに感謝して、席にちょこんと座り続ける。
                         (大辻隆弘)


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