収穫の秋

ゴンザレスこと大西實

2021年10月04日 09:42

「大地の恵みに感謝する」


 収穫の秋である。取れたての農産物が並ぶ直売所を訪れて、大地の恵みに感謝する▼稲刈りの終わった田んぼを見ながら、ミレーの「落ち穂拾い」を思い浮かべた。かつての日本の農村でも見られた。その時の家族の語らいに満たされた。1814年の今日、フランスの農家の長男に生まれたミレーは、農村生活にこだわり、多くの農民画を残した。▼山梨県立美術館に代表作の一つ「種をまく人」がある。自然と闘いながら働く農民の厳しさと誇りを描いた。一方で、「まるで空に散弾をばらまいて、労働者の悲惨な状態に抗議している」(『ミレーの生涯』Aサンスィエ)との解釈もあった。一向に豊にならない不条理な社会への、怒りの「つぶて」だと▼(中略)
 主食の米の価格が市場原理に委ねた結果の暴落である。記録的な大凶s買うに見舞われた28年前と同じ37%に食糧自給率が下がっても、それほど危機を感じない国民である▼食べられるのに捨ててしまう食品ロスは600万トン。そのうち米のつぶてが飛んでくるかも知れぬ。
※日本農業新聞2021.10.04第一面「四季」より引用させていただきました。


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