鬱金香(チューリップ)

ゴンザレスこと大西實

2024年04月20日 07:21


おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.04.20第一面より引用掲載させていただきました。
鬱金香(うっこんこう)かなしきほどにひらきおり雌しべ雄しべも剥(む)きだしにして   
    浅井美也子『つばさの折り目』


 チューリップが咲いている。色とりどりのその花は大柄でかわいらしい。この花を漢字で書くと「鬱金香」。「うっこんこう」とも読む。このように漢字で書かれると、あのかわいらしい花がどことなく陰影を帯びてくるから不思議だ。
 花びらが開ききったチューリップはどこかけだるげだ。花の奥に黒い雄しべが六本、黄色く濡れた雌しべが六本、剥きだしのまま立っている。それを見てしまう作者。(大辻隆弘)

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