瓦礫の中から

ゴンザレスこと大西實

2024年02月19日 12:08


おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2024.02.19第一面より引用掲載させていただきました。
風よりもひかり瓦礫(がれき)も鍋も血も   堀田季何『人類の午後』

 風光る時を迎えた。掲句は風よりもひかり、風光るではばいという。
 春は光が戦場や地震の瓦礫に刺さる。そこに転がる鍋を光らせる。なによりも、流された血にあたる。
 瓦礫・鍋・血と残酷なものへ、悲惨なものへ焦点が絞られてゆく。のどかな季語「風光る」ということばが分解され、一筋のひかりとなって民族の血まで気付かされる。
 季語を踏まえながら、一行詩であろう。現代の破壊された風景がさりげなく、暴き出される。根源は「血」の争いの指摘が鋭い。(宮坂静生)

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