秋の湖畔

ゴンザレスこと大西實

2023年11月30日 08:34


おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.11.30第一面より引用掲載させていただきました。
湖にしげる水草立つ風のゆくへを追ひてつぎつぎかしぐ                     林三重子『桜桃』

 湖の水際に葦が生えている。その葦も、秋の終わりには枯れ尽くしてしまう。蕭条(しょうじょう)とした風景が目の前に広がる。
 そこに一陣の風が吹く。湖畔を通り過ぎるその風に遅れて葦がなびく。そのなびきが向こうへ、向こうへと伝わっていく。
 葦がサラサラと触れ合う音は、今年の秋をどこかへ連れ去ってゆく。11月も今日で終わり。秋は、今夜、遠く旅立つ。
                (大辻隆弘)

関連記事