花火師

ゴンザレスこと大西實

2023年07月28日 08:27


おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2023.07.28第一面より引用掲載させていただきました。
花火師の手首に鹿の革巻かれ  一志貴美子『山茶花第4集』


 熟練の匠の手首である。鹿の革の効用が花火師の厳しい仕事を助けているのである。通気性がいい。
 敏捷(びんしょう)に振る舞う熱い作業を続ける上で、蒸れないで、肌触りが最高なことは微妙に仕事を捗(はかど)らせる。
 夏の打ち上げ花火を仰ぐたびに、闇に隠れて黒子となって働く花火師のことは忘れがたい。
 その手首に着目したのは作者も長く印刷編集に携わった職人暮らしへの愛情であろう。作者は最後に佳句を残し、忽然と、2022年11月に逝去。75歳であった。(宮坂静生)


 

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