「古池や・・・」松尾芭蕉

ゴンザレスこと大西實

2022年03月30日 08:12

おはよう!今日の名歌と名句
※日本農業新聞2022.03.30第一面より引用させていただきました。
古池や蛙飛びこむ水の音  
              芭蕉『春の日』


 「山吹や」云々という句形もある。玉川などの清流の岸に山吹が咲き、そこへ蛙が飛び込む。わかり易い景色だ。
 ところが掲句は枯淡な句である。冬枯れが残る早春の池に眠りから覚めた蛙が飛び込む。その音が一つ。後は無韻。この静かさとは何かを考えよ。禅の公案のような謎を孕(はら)む。
 芭蕉の俳句開眼の句として名高い。鳴く蛙でなく、飛ぶ蛙。日常のモノクロ世界の無意味に近い光景を突き付けられ人は生きるとは何かを考えるのではないか。(宮坂静生)


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